「着たら体を動かしたくなる」〝ボディームーブメントウェア〟の「アイナスタイル」を生産・販売するアイナスタイル(京都市、杉本有紀子社長)。著名なアスレチックトレーナーの山本邦子さんが監修、ワコールでパジャマやルームウェアのデザインなどを手掛けてきた杉本社長が物作りを担い、15年に立ち上げた。全方向に伸びる生地と立体裁断技法により心地良くフィットするウェアは、奄美大島をはじめ、国内の伝統的な技法や物作りの技術から生み出されている。
(壁田知佳子)
日本伝統の染めや編み
ブランドの代表シリーズの一つが、お茶や薬草として知られる「羅布麻」のシリーズ。抗菌作用や通気性、保湿性など天然の機能性があるとされる素材の力を生かし、ワンピースやパンツ、Tシャツなどを作る。染色は奄美大島の草木泥染めや、天然藍の藍染め。使い込むと変化する色も愛用する楽しみだ。生地の編み立ては奈良、縫製は奄美で行う。
肩甲骨部分が開いたTシャツ、後ろスリットのノースリーブトップ、レギンスなどヨガ用ウェアは、肌の露出が控えめの大人のためのヨガウェア。ほかに、たっぷりと布を使ったサルエルパンツ、サイドスリットのアシンメトリーワンピース、ゆったりフォルムのフード付きアウターなど、スタジオの行き帰りや旅行に適したウェアも揃う。
染め直しも始め、より長く愛用される服として顧客との関係を深めていく。
京都市下京区の京町家の1階に直営店を構える。店の奥にはアトリエがあり、2階の和室は〝畳ヨガ〟のスタジオとして利用している。ヨガスタジオを主宰する岡智恵子さんは、ワコールの「CW-X」に長年携わった体や筋肉のスペシャリスト。イグサの匂いや畳の柔らかさに包まれるヨガレッスンは、一般的なスタジオで行うヨガとは一味違う感覚が得られると好評だ。ブランドのファンや近隣に住む人や働く人など、リピーターが多い。
顧客の声を吸い上げ
4月には直営店からほど近い高島屋京都店の「ウェルビーラボ」に期間限定店を出した。
ウェルビーラボの加藤宏一マネジャーはアイナスタイルについて、「京都で地域に根差した店やヨガ教室を行っていることに加え、顧客の声を吸い上げた新しいソリューションを提供し、顧客と密接な関係を作っている」と話す。そうしたブランドを「多くのお客様に知ってもらいたい」と、期間限定店の出店は今年4月で4回目となった。出店した4月17~23日は高島屋の全社的なサステイナブル活動「ツナグアクション」の開催時期でもあった。
今回、顧客の要望に応え、伸びが良く動きやすいボトム「フィットパンツ」に新色の黒を加えた。店頭に出してすぐ「はかせて!」と反応があったという。
地元医院でヨガ教室
岡さんは京都市内の「いぬいクリニック」(乾将吾院長)でヨガレッスンを行うなど、地域での活動に力を入れている。昨年6月から毎月行っている無料ヨガ体験会は、80代も参加するなど年代や性別を問わない人気講座だ。
健康や美、サステイナビリティーなど今の時代にフィットする提案を、モノとコトの双方から提供するアイナスタイル。地元の京都を拠点に、共感の輪を生み出し始めている。