金沢のセレクト店「アヤカ」 ハンドメイド作品やランジェリーで金沢の魅力をアピール

2024/11/06 06:26 更新


金沢市片町に店を構える

 石川県金沢市に8月、加賀友禅などの伝統工芸品を活用したクラフト作家による作品や、オリジナルのランジェリーを販売するセレクトショップ「ayaca」(アヤカ、吉田英男社長)がオープンした。国内外からの旅行者に向けて「金沢らしさ」を重視した作品で魅力をアピールする。

(榎田果歩)

一点物の下着

 アヤカで販売するのはオリジナルの「アヤカランジェリー」や県内在住のクラフト作家による作品など。ランジェリーは約20年ランジェリー業界で働いていた吉田さん自身の経験を生かして作ったものだ。「金沢らしさをアピールできる下着があれば面白いと思った」とブラジャーとショーツを開発。小松市在住の加賀友禅作家が描いたきものの柄をもとに作成した図案を、インクジェットでプリントした。柄の入り方はランダムで、すべて一点物だ。柄のプリントから縫製までを全て国内の工場が担っている。

オリジナルの「アヤカランジェリー」

 見た目だけでなくシルキーな肌触りや蒸れを防止するための吸水速乾性、ストレッチ性などにもこだわった。ブラジャーとショーツともにオフホワイトとイエローの2色で、サイズはM~LとL~LLを揃えた。ブラジャーは税込み6800円、ショーツは3200円。下着のほか、同じ生地を使いブラウスやスカート、ワンピースなども揃えている。

 県内の作家による作品を販売している理由は「才能はあるのに売り場がなかったり、経営の仕方が分からなかったりする作家を支援したい」から。むにゅむにゅとした手触りが特徴的なジェルキャンドルは小松市在住の作家、ハスの花の穴にガラスを埋め込んだオブジェは金沢市在住の作家による作品だ。花柄が特徴的な鳴子こけしは金沢市に住む加賀友禅の伝統工芸士によるもの。加賀友禅の技法を取り入れ、手描きで制作した。

むにゅむにゅとした触り心地のジェルキャンドル
加賀友禅の図案をもとにした柄

 現在はイベントなどを通じ知り合った作家ら約10人による作品を販売している。また能登半島地震への支援として、被災地で採れたアワビの貝殻をもとに志賀町在住の作家が作ったイヤカフなどのアクセサリーも扱っている。

能登半島地震被災地で採れたアワビを使ったイヤカフ。復興支援につなげる

販売は店舗のみ

 アヤカで販売している作品が購入できるのは実店舗だけ。「時代の流れに逆行するかもしれないが実際に店に来て、見て、触って購入してほしい」とあえてECはしない方針だ。アヤカを訪れる客の6割程は外国人で、インスタグラムなどのSNSを通じ情報発信をさらに強化していく。「どこでも購入できるものではなく県内で作られた唯一無二の作品で、クラフト作家さんや伝統工芸の新たな可能性を広げていきたい」と吉田さんは笑顔を見せる。

吉田英男社長


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