コンセプトストア「ブティックロマンティック」 パリの空気を中目黒へ 店や作り手の関係を持ち帰る

2026/07/03 11:30 更新NEW!


パリの空気を感じられる店内

 パリの街で育まれた人や店、物のつながりを、東京・中目黒の一角で味わえる。コンセプトストア「ブティックロマンティック」は、フランスにまつわる服や雑貨、アートブックを通じ、現地の空気やコミュニティーまでを伝える店だ。店主の杉山拓也さんが24年、自身の店の「第2章」と位置付けて開いた。

(坂入純平)

 杉山さんは「フランクリン&マーシャル」「リプレイ」などのイタリアブランドをはじめ、「アディッション・アデライデ」で接客・販売を経験した。知人の会社でファッション事業統括を任され、店舗運営からインポート買い付け、商品企画・生産まで事業運営を担い、ファッションビジネスの知見を深めた。独立し、22年に東京・世田谷で前身の「ムッシュエマダム」を開き、第2章として24年に中目黒へ移転した。

東京支店をやりたい

 店内には、パリ・北マレのブックショップ兼ギャラリー「0fr.Paris」の東京支店「0fr.Tokyoなかめぐろ」を設ける。杉山さんはインターネットでカニエ・ウェストさんが訪れている写真を見て、0fr.を知った。グッズを買い付けようと、初めてのパリ出張でアポイントも取らずに店を訪ねた。目に飛び込んだのは、ずらりと並ぶアートブック。本の品揃えと店そのものに引き込まれ、「その時から、直感で東京支店をやりたいと思った」と振り返る。

 独立後はパリへ行くたびに0fr.を訪れ、足を運び続けて信頼関係を築いた。中目黒への移転後に試験的に開いた0fr.の期間限定イベントでは、3日間で1000人を集客。その後、東京支店の運営に加え、国内での営業、広報、企画、協業、イベントなどを担う現在の形につながった。杉山さんはアートブックを「ロマンの塊」と表現する。「写真だけではなく、紙の質やレイアウト、編集、サイズまで、全部に作った人の考えが表れる」。一冊を手に取ることで、作り手の存在を直接感じられる点に魅力を見る。

店主の杉山拓也さん

教育者という目標

 店ではアートブックのほか、「ブレス」など0fr.と縁のあるブランドもそろえる。「海外に行った時の高揚感や、現地の香りを再現したい。半径数キロにある物をごそっと持って帰る感じ。昔の並行輸入の考え方に近いですね」。商品だけでなく、周囲の店や作り手の関係を持ち帰る。現地のコミュニティーが伝わるように東京の売り場を編集している。

 こうした仕事の先には、昔から掲げている教育者になるという目標がある。大学では幼児教育を学び、保育士と幼稚園教諭の資格を取得した。教育者になるなら、まずは好きな分野で何かを成し遂げた人になる必要があると考えた。この目標から逆算し、経営への道を歩んできたという。

 「将来は幼児向けの一般教育施設を開きたい」。専門的なカリキュラムを一方的に教えるのではなく、絵や音楽など、子供自身が興味を持ったことを実現するきっかけを作る場所を構想する。「好奇心があると、人生は豊かになると思う。それは今の店作りにも通じるところ」と話す。

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