綿やウールなど天然繊維で回収から選別・仕分け、再資源化・商品化までをつなぐ新たな循環型の事業システム(サーキュラーエコノミー)を構築する取り組みが始まった。ビーピーラボ(BPLab=東京、八代直樹社長)が運営する天然繊維での循環システム「ビオロジックループ」は、アパレルメーカーや小売店のほか商社や紡績、テキスタイル企業など天然繊維に関連する企業の参加を促し「天然繊維でのサーキュラーエコノミーの実現」を目指す。
GSIクレオスと組んで循環型DtoC(メーカー直販)ブランドを立ち上げるなど循環型社会実現に向けた活動を行う一般社団法人サーキュラーエコノミー・ジャパン(中石和良代表理事)は、アパレルや流通、商社などで長年ファッションビジネスに携わってきたメンバーとともに、運営母体となるビーピーラボを21年6月に設立した。
既に同システムの核となる「関東圏の産業廃棄物の回収・資源仕分けを行う専門会社と契約」(矢代ビーピーラボ社長)。具体的な仕組み構築を始めた。
サーキュラーエコノミー・ジャパンは、企画・デザインの段階から回収・再生を前提として製品化を行うため「一般的な資源のリサイクルとサーキュラーエコノミーは根本思想が違う」と指摘する。そのため参加企業には「廃棄物と汚染を生み出さないデザインを志向して欲しい」と訴える。
同システムではデザイン・設計段階で綿・麻を緑、ウールを赤の2カテゴリーに分類する。参加企業・ブランドが提供する製品の特徴に応じて緑と赤の下げ札が付く。下げ札のQRコードを読み取ると素材情報や回収・リサイクル方法が分かる。
一方で同システムに乗っていない回収資源や、複合素材の製品もあることから、再生では原料と製品を使い分ける。原料として再生可能なものは紡績などに供給するほか、ウエスや産業資材向けなども販路として考える。さらに同システム独自に製品化も志向。既に寝具メーカーからの側地再生による綿シャツ地なども具体化している。
同社では「SDGs(持続可能な開発目標)への関心の高まり、衣料品の流通在庫と廃棄が問題になる中で資源の回収・再利用はますます大きな課題になる」として、天然繊維業界の関連企業のほか行政など広くバイオロジックループの特徴を紹介する。