前回も触れたように、当社はかなり研修が多いようです。もちろん、それ自体が目的ではなく、狙いは自分で考えて動ける人を増やすこと。厳しさや締め付けによらず、能動的・主体的にやりがいを持って働ける人を増やしていくのが目的です。毎日職場に行きたくて仕方がないと皆が思えるくらいの会社まで持っていきたいと考えています。
【関連記事】《私のビジネス日記帳》エネルギーの塊 オーティーエス社長 田中優一郎
というのも、物流の現場では、個人の利己的な目標は達成し得ません。大勢のチームによる仕事の中で、仮に自分だけうまくやろうとしても成就しないのです。チームで動く仕事のために、工夫して学ぶことが好きな人が向いていると感じています。学ぶことは、ぜいたくな遊びという言葉があるように、それを楽しめる人が集まれば、自然とより良い仕事ができるのではないでしょうか。
近頃、物流が注目されていますが、私たちは、一般的な自動化/省人化の方向とは異なる道を歩んでいます。多くの人の手を必要とする高機能型サービスが軸です。独自性のあるブランドが雨後のタケノコのように出てきた方が、ファッションビジネス業界は活性化するはずです。同様に、この業界に特化した物流企業である当社も、面白い多くの人が関わって活性化に貢献したいのです。
かつて欧米流の資本主義の導入に懐疑的だった渋沢栄一が、一万円札の顔になりました。利益の追求は奪い合いにつながり、不幸せな人を生みます。新一万円札は、利益至上主義の限界とともに、私たちの可能性を考えるご縁と感じています。
(オーティーエス社長 田中優一郎)
◇
「私のビジネス日記帳」はファッションビジネス業界を代表する経営者・著名人に執筆いただいているコラムです。