クレストブリッジ、三原康裕氏に聞く

2015/04/16 05:47 更新


真摯な物作りのDNAを前面に

 デザイナー、三原康裕がクリエイティブディレクターを務める三陽商会の「ブルーレーベル・クレストブリッジ」「ブラックレーベル・クレストブリッジ」(クレストブリッジ)が始動した。

 先月末、東京・秩父宮ラグビー場でお披露目のショーを開催。同社が「バーバリー・ブルーレーベル」「バーバリー・ブラックレーベル」の後継ブランドとして位置づけるブランドだけに注目度は高く、百貨店関係者やプレスなど多くの業界関係者が集まった。いよいよ今秋から販売が始まる。三原にブランドの方向性などを聞いた。

■人を幸せにする

 クリエイティブディレクターのお話をいただいた時、正直びっくりしました。自分はアバンギャルドで強いクリエーションが評価されていると自覚していましたから。ただ、驚いた半面、真摯に物作りと向き合い、情熱を注ぐ会社と一緒に仕事ができることをとてもうれしく思いました。

 新しいクリエーティビティーとか奇抜さは重視していません。刺激を求める人がいる一方で、安心感を求めている人もいますから、クリエーションは必ずしもとがっていなくていい。ちょっとしたさじ加減で、人々にちょっとした勇気を与えられる隠し味を大切にしたい。クリエーションの本質は、人を幸せにすることだと思っています。

 ブランドとして重要なのは、人々に何を伝えるかです。三陽商会の一番のDNAは物作りにありますから、それが前面に出るブランドにしたい。伝統に時代感を加えつつ、長く愛される物を作りたい。「継承と革新」をブランドのアイデンティティーとして、三陽商会がやり続けてきたことを、未来に向かって再構築することが僕の役割です。

■雑貨で新鮮味を

三原さん(左向き)

 物作りは国内が中心です。やっぱり日本の物作りってすごい。いい物はいいですね。クレストブリッジでは工場の職人一人ひとりがプライドを持ち、思いを込めて仕事をしていることを、きちんとお客さんに伝えていきたい。この価格帯で日本の物作りを売っていくブランドって、非常に大切だと思います。

 物作りで重要なのは、作っている人が同じ方向を見られていること。クリエイティブディレクターって、みんなの気持ちを一つにまとめていく役目もあると思うんです。どんなに素晴らしいデザイナーでも、プレスや細かいステッチまですべてを一人で仕上げることはできません。

 その点、三陽商会にはパタンナーや企画の手だれがいっぱいいる。今、物作りについて10話して1しか理解できない人も多い中、この会社の人は、僕が感覚で1しか話さなくても、10や20通りの考えを返してくれます。一人ひとりが衣料品ではなくファッションへの情熱を持っていて、足並みが揃っているのは強みです。

 クレストブリッジでは、トラッドを軸にストリートとクラシックの要素をミックスした様々な着こなしを提案しています。新鮮味のある雑貨もブランドのメッセージの一つ。トラディショナルでベーシックな服も、新しい雑貨を合わせることで見え方が変わる。特に靴ってそれが魔法のようにできるんです。



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