大和紡績 企業価値高め、数年後にIPO 研究開発、設備投資で成長加速へ

2023/11/24 18:00 更新


 ダイワボウホールディングス(HD)は、かねてより検討していた大和紡績の独立化を実行する。11月22日、ダイワボウHDは大和紡績の発行済株式の85%を投資会社のアスパラントグループ(東京)が所有するファンドに譲渡することを発表。狙いは「大和紡績のさらなる成長による企業価値最大化」。そのパートナーにアスパラントグループが「最良」と判断した。同グループの協力を得て、数年後にはIPO(新規株式上場)を目指す考え。

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 株式譲渡は24年1月18日に完了予定。そこで新しい経営陣が公表されるもようだが、現在の経営体制、従業員の雇用、処遇は一切変更がないと見られる。

 大和紡績によると、アスパラントグループは大和紡績が行う繊維事業、とりわけ合繊・レーヨン事業を中心に開発の余地、展開性について非常に可能性を感じているという。このため、老朽化した設備の更新を含めた増設投資、効率化、環境配慮の観点での設備投資、研究開発などを積極的に推進する考えのようだ。

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 ダイワボウHDは連結業績(23年3月期)が売上高9039億円、営業利益279億円。繊維関連では比較的大きな企業グループだ。とはいえ、収益の9割はITインフラ流通事業。内容はコンピューターや周辺機器、ソフトウェアの販売、物流サービス業で、中核会社はダイワボウ情報システム(DIS)が担う。大和紡績が担う繊維事業は1割に満たない。

 独立化の検討は、ダイワボウHDが事業ポートフォリオを整理するなかで「大和紡績は独立した方が成長できる」と判断したため。大和紡績は「成長に向けた前向きな経営判断。(アスパラントグループによる)救済出資ではなく、成長に向けた協力」との認識だ。

 「構造改革の成果で不採算部門はない」と同社。紡績企業の繊維事業においては健闘を続ける。今後は収益を伸ばしていく方向へ大きく舵を切っている。成長には機能素材の研究開発や生産設備への投資を必要とする。それには、独立を選択した方が製造業としての意思決定を迅速にできると考えたようだ。


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