富山と金沢の両市でオーダースーツ店「ザ・メジャーリング・オーダーサロン」を経営するデンプラニング(富山市、藤田伸朗社長)は、装飾性の高いシューキーパーの持ち手(ヘッド)をブランド化した「ザ・シューキーパーヘッド」を企画した。富山の地場産業であるアルミの加工会社と組み、羊やトンボなどの意匠のヘッドを、アルミの切削技術を用いて生み出した。ブランドとの協業を基本に営業を始めている。
木製のシューキーパーには持ち手があり、多くは回せば外れる。サイズ規格もほぼ共通しており、「好みのものに付け替えられるようにすれば面白いのでは」(藤田社長)と考え、商標登録及び実用新案登録の出願を済ませた。
富山県は高岡市の伝統産業である銅や鉄器の鋳物技術をベースに始まったアルミニウム産業が盛ん。建材のYKK・APや自動車ホイールのBBSジャパンなども生産拠点を置く。今回協業したのはフジタ(高岡市)。
6000番手のアルミを、複雑な形状を加工できる5軸加工機で削り出し、酸化しないようにアルマイト加工。モチーフはスーツに縁のある羊やラッキーアイテムであるトンボ、枯山水など。羊が12万5000円(1個売り、本体価格、以下同)、馬蹄(ばてい)やトンボが8万5000円、流湾型が6万5000円など。安くはないため、協業するのもそれなりのブランドになる見込み。
すでに人気の大人向け男性誌の別注が決まっており、ヘッドのデザインを選び、宝石(誕生石など)をあしらうこともできるラグジュアリーなものになるという。雑誌とECで読者に向け販売する。
地元のヒノキ材を使ってシューキーパーを京都で量産するモグプラス(京都府南丹市)を推奨シューキーパーとしてセットで用意している。装飾性のあるヘッドに合うようにかかとを細くするなどエレガントに仕上げたものだ。
藤田さんは、「京都のヒノキ、富山の立山スギのように、全国に地場の材木がある。金属加工業者も全国にいる。色々な材質のシューキーパーで様々なデザインの持ち手ができれば面白い」と話し、全国規模での展開も視野に入れている。国内の森林保全団体ともすでに協議に入っているという。「ザ・シューキーパーヘッドが全国ブランドになり、海外にまで販売できれば」と展望する。