全国百貨店の今秋冬の改装・増床調査 成長領域に重点投資

2022/09/15 06:27 更新


8月17日に面積を拡大し、改装オープンした1階化粧品売り場(松屋銀座本店)

 繊研新聞社が実施した全国百貨店改装・増床調査によると、今秋冬は47店が改装する(実施済み含む)。不振が続く衣料品のボリュームゾーンを縮小し、成長領域の食料品、化粧品、特選衣料雑貨に重点投資する。顧客のライフスタイル、興味・関心事の変化に対応し、来店することが楽しくなる動機付けを創出する。買い物を通じて新たな発見・体験を提供し、リアル店の強みを発揮する。

 今秋冬の改装は基幹店に重点配分し、選択と集中を強める。婦人服や紳士服に偏っていたフロア構成を見直し、商品領域を横断した新たな編集ゾーンを構築する。注目は東京・新宿エリアで、駅周辺の再開発に伴って高層ビルが相次いで建設される。

 小田急百貨店新宿店は本館の営業を10月2日に終了し、新宿西口ハルクを再編して同月4日に改装オープンする。「スマート」をテーマに、食品、化粧品、ラグジュアリーブランドを中心に展開ブランドを集約し、商品カテゴリーを絞り込む。営業面積が縮小するため、自社ECの扱い商品を拡大するとともに、デジタルを活用した顧客とのコミュニケーションを強化する。本館跡地の複合ビルは29年度に完成予定で、40年代には京王百貨店新宿店の建て替えが計画されている。

 渋谷では、東急百貨店本店が23年1月31日に営業を終了し、跡地に大型複合施設が27年度に完成する予定だ。都心の再開発で、百貨店の存在意義が改めて問われることになる。

 食料品、化粧品、特選衣料雑貨の成長領域に加えて、ゴルフ売り場や美・健康の編集ゾーンの拡充が相次いでいる。コロナ禍が契機となった顧客の興味や買い方の変化に対応する。



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