【パリ=松井孝予通信員】欧州委員会は米国からのEU(欧州連合)域内への輸入品に対する報復関税リスト案を公表した。加盟国および産業界からの意見募集を目的としたもので、対象は約950億ユーロ相当の米国製品に及ぶ。
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5月8日に発表した今回の案には、航空機や自動車部品、化学製品などの工業製品に加え、ファッションやラグジュアリー領域に関係する製品も一部挙げられている。なかでも、天然皮革製のハンドバッグや財布など、欧州ラグジュアリーメゾンの象徴的なアイテムが含まれている。
また、ワインやコニャックも対象となっており、酒類事業を持つ仏LVMHなどにとっては、米市場での販売への影響が懸念される。
4月には、仏コルベール委員会や伊アルタガンマなどが加盟する欧州文化・創造産業連盟(ECCIA)が、文化産業への配慮を求める公開書簡を欧州委に提出しており、今回のリストにも関係者の関心が集まっている。
欧州委は、報復措置は通商関係の再均衡を目的とするとの立場を示しており、対象品目は6月10日までの意見募集を経て調整される見通しだ。