【パリ=松井孝予通信員】EU(欧州連合)は、150ユーロ以下の低額小包に対し、1カテゴリー当たり3ユーロの定額課税を導入する案を採択した。免税措置は26年7月に廃止され、従来28年としていた制度改革を前倒しする。価格に応じた定率課税を想定していた欧州委に対し、低価格品ほど抑止効果が強い定額方式を主張したフランス案が採用された。
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新制度では、小包内の商品が異なるカテゴリーにまたがる場合、その数に応じて課税される。低価格品の過少申告や規制不適合商品の流入を念頭に、中国系ECを抑える狙いがある。24年に域内へ流入した低額小包は約46億個に上り、91%を中国が占める。
このEU課税は、仏政府が26年予算で検討する国内課税とは別建てで、EUの新たな独自財源となる。EUは26年11月から、税関・市場監視強化を目的とする1件2ユーロの処理手数料導入も予定しており、課税と行政手数料を組み合わせた二段構えの制度設計となる。低額小包を巡る措置は、市場のゆがみ是正を目的としたEUの判断となった。