景況・消費見通しアンケート 新型コロナウイルスの影響と対策 「20%以上の減収」が半数近く

2020/07/23 06:30 更新


 前回(1~3月)に続き、今回のファッションビジネス景況・消費見通しアンケートでも、新型コロナウイルスによる感染拡大の影響と対策について聞いた。5月26日に全国で緊急事態宣言が解除され、百貨店や商業施設が相次いで営業を再開している。業績への影響もある程度は見えてきたこともあり、当面の対策だけでなく中長期の対応、あるいは政府や自治体への要望も具体化しつつある。

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影響はさらに拡大

 コロナ禍の事業への影響については、「大いにある」が前回の90.7%に対して、今回は95%に拡大した。当初は、新型コロナ発生源とされる中国での生産や物流での影響が大きかったが、国内での休業や外出自粛の影響を受けて国内販売に波及。さらに、在庫増で秋冬物の受注にも影響が出始めており、影響はさらに広がっている。


 どのような分野での影響が大きかったかの問いでも、最も多かった回答は「店舗の休業などによる売り上げ減」がトップで、次いで自粛ムードによる「消費マインドの冷え込み」が続く。以降も「在庫の増加」など販売への影響が上位だ。


 業績への影響も大きくなっているようだ。前回の調査では、8割の企業が年間の売上高への影響が「まだ分からない」と回答したが、今回は44.5%にとどまった。最も多い回答は「20%以上の減収」で、実に半分近くを占めている。


在宅勤務が上位

 対策は、短期、今期、中長期の三つに分けて具体的な内容を聞いた。短期的な対策として実施、もしくは検討している内容で最も多かったのが「在宅勤務、テレワークなどの活用」、次いで「時差出勤」などが上位に並んだ。今期中の対応策では、売り上げの大幅な減少に対応した「経費削減」、次いで「資金確保」といずれも資金面の対策を挙げる企業が多かった。



 中長期の対応策としては、当面の対策と同様に「在宅勤務、テレワークの制度化など働き方」が最も多く、これに次ぐ「事業計画、中長期計画の見直し」の二つを挙げる企業が多かった。


 政府や自治体などへの要望では、休業や売り上げ減に対応した「家賃、テナント料の補助」が最も多く、次いで「消費振興策」となった。その他の回答では「国家経営を考慮したバランスの取れた政策」「行政手続きのオンライン化」「地代の減額」「各種助成制度に係る申請方法の簡便化とスピード化」「ディベロッパーへの補助」「妊婦に対する補助、学童に対する補助、テレワーク設備の導入補助(ハードルを下げてほしい)」といった内容が挙がっている。


〈アンケート協力企業〉

AOKI、青山商事、旭化成、アシックスジャパン、アダストリア、アッシュ・ペー・フランス、アトレ、アルペン、アンテプリマジャパン、イオンモール、イオンリテール、イトキン、ヴァンドームヤマダ、エース、大西、オーミケンシ、オーロラ、岡本、オンリー、オンワードホールディングス、カイタックホールディングス、川辺、キング、近鉄百貨店、クラボウ、クラレトレーディング、栗原、クロスプラス、グンゼ、小泉アパレル、サックスバーホールディングス、サマンサタバサジャパンリミテッド、サンシャインシティ、三陽商会、サンラリー、JR博多シティ、シキボウ、シップス、SHIBUYA109エンタテイメント、ジュン、ジョイックスコーポレーション、湘南ステーションビル、スタージュエリー、ストライプインターナショナル、生活協同組合コープこうべ、西武プロパティーズ、セブン&アイ・ホールディングス、大丸松坂屋百貨店、瀧定名古屋、タキヒヨー、タビオ、ダブルエー、チュチュアンナ、蝶理、TSIホールディングス、帝人フロンティア、デサントジャパン、東海染工、東急不動産SCマネジメント、東急モールズデべロップメント、東京ソワール、東洋紡、東レ、東亜紡績、トヨタオートモールクリエイト、ナイガイ、西松屋チェーン、日清紡テキスタイル、日鉄物産、ニットプランナー、ニッケテキスタイル、ハニーズホールディングス、林田、バリュープランニング、パルグループホールディングス、パルコ、はるやまホールディングス、パレモ・ホールディングス、バロックジャパンリミテッド、阪急阪神百貨店、ビームス、ビスコンティ、ヒマラヤ、ヒロタ、ファーストリテイリング、ファッション須賀、フェスタリアホールディングス、福助、フランドル、ブルーミング中西、フルラジャパン、ポンテヴェキオ・ホッタ、マドラス、丸井グループ、丸紅、三起商行、ミズノ、三井物産アイ・ファッション、三井不動産商業マネジメント、三越伊勢丹ホールディングス、三菱ケミカル、三菱地所・サイモン、三菱地所プロパティマネジメント、三菱地所リテールマネジメント、御幸毛織、ミルク、ムーンバット、モーダ・クレア、モリリン、ヤギ、山喜、ヤマトインターナショナル、ユナイテッドアローズ、ユニー、ユニチカトレーディング、4℃ホールディングス、ラピーヌ、良品計画、ルックホールディングス、ルミネ、ロンシャン・ジャパン、ワークマン、ワールド、ワコールホールディングス

(繊研新聞本紙20年6月30日付)

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