近年、女性の健康課題が大きくクローズアップされている。特に働く女性のライフステージ(生理・出産・育児)における身体的・精神的な悩みの解決は、女性活躍推進において喫緊の課題となっている。そこで注目されているのがフェムテック・フェムケアだ。
関連する商品領域は月経、妊娠、産後、更年期など幅広く、食品でケアする商品も登場しており、更なる市場拡大が期待されている。
(日本食糧新聞社・藤村顕太朗)
食品を各種形態で
フェムテックとは、女性(Female)と技術(Technology)を掛け合わせた造語で、女性の心身の健康課題をテクノロジーで解決する商品・サービスを指す。自民党のフェムテック振興議員連盟が発足した20年を〝フェムテック元年〟として市場が立ち上がり、〝テック〟という言葉の通り、機能性の高い吸水ショーツなどの生理用品や妊活向け医療機器などの普及が先行。ただ、忙しい毎日の中で医療関連品はハードルが高いため、普段の生活でより気軽に取り入れやすい食品のニーズが高まっている。
昨今、食品を中心とした〝テック〟以外の商品・サービスを指す〝フェムケア〟が台頭しており、その先駆けが明治の「明治フェムニケアフード α-LunA(アルファルナ)」だ。牛乳や母乳に含まれる乳タンパク質の一種「α-LA(アルファ-ラクトアルブミン)」の研究から生まれた商品で、毎日おいしく継続摂取できる食品として、ミルクチョコレート、パウダー、ドリンクなど各種形態を取り揃えている。
製薬企業も充実
大手食品メーカーでは明治に次いで、今年からアサヒグループ食品、サントリー食品インターナショナルなどが相次いで新商品を投入。更に製薬企業を中心に、妊娠前から健康管理を行う〝プレコンセプションケア〟に着目したサプリメントの充実を図っており、ライフステージ別の悩みに対応している。
食品原料メーカーも既存のビタミンやミネラルなどの各種栄養素にフェムケアという付加価値を付けて販売攻勢。その中で、再び脚光を浴びつつあるのが大豆イソフラボンだ。大豆イソフラボンは女性ホルモン(エストロゲン)と化学構造が似ているため、体内でエストロゲンに似た作用を生じ、骨粗しょう症の予防、更年期障害の軽減などに有用と言われている。
矢野経済研究所によると、23年のフェムケア&フェムテック市場規模は750億5400万円で、20年比約3割増えた。女性の健康課題による社会全体の経済損失額は3兆4000億円とされ、今後の女性活躍を推進していくうえでフェムテック・フェムケアへの期待は高まるばかりだ。