ユニチカが繊維事業を売却する方針を決めたことが関係者への取材で明らかになった。衣料繊維、不織布など全社売上高の4割強が対象で、低採算事業の切り離しで収益立て直しを目指す。
現時点で売却先は未定で、今後、相手先や売却方法などを詰めていく。対象となる事業はユニチカトレーディングが手掛けている衣料繊維や不織布のほか、中空糸膜などを除く産業繊維事業。
製造拠点は岡崎事業所(愛知県岡崎市)の合繊工場、綿紡績のユニチカテキスタイル(岡山県総社市)、合繊紡績のユニチカスピニング(長崎県松浦市)、染色加工の大阪染工(大阪府島本町)や、海外拠点では紡績のユニテックス(インドネシア)、ポリエステルスパンボンド不織布のタスコ(タイ)などが含まれる。
同社は1889年創業の尼崎紡績をルーツとする大日本紡績(後のニチボー)と、26年設立の日本レイヨンが69年に合併して設立された。14年にはポリエステル短繊維の不採算分野の縮小など構造改革を実施する一方、タスコの増強など成長分野への投資を実行。再建を図ってきたが、24年3月期連結決算で初の営業赤字を計上し、抜本的な対策が必要となった模様。