真木喜久子がデザインするレディスブランド「ギャルデコレクティブ」は、東京・代官山の直営店で2月16日、自社以外の三つのブランドのコーナー販売を始めた。コロナ禍でビジネスが一層厳しくなるなか、今ある店を生かし、直営店を持たないブランドと一緒に、双方に少しでもメリットと元気をとスタートした。
(赤間りか)
コーナー販売しているのは、レディスブランド「タージュ」の高田祐子が手掛けるジャージーウェアの「ソン」、アクリル樹脂のアクセサリー「ヌエン」、中国のモードなアパレルブランド「JNBY」。ギャルデコレクティブはこの直営店で以前から、様々な分野のアーティストやブランドを紹介、販売するイベント「シェア・センス」や複数ブランド合同のセールを行ってきた。
コロナ前から厳しい
今回もシェア・センスのタイトルで発信しているが、短期のイベントではなく、さらに充実、発展させる考え。「ビジネスが厳しいのはコロナの前から。イベントを開いた時は盛り上がっても、目的がないとスーッとお客さんが引いてしまう。何とかしたい、みんなで一緒に何とかしよう、私たちには店があるからもっと生かせるのでは、と周りに声をかけ始めた」と真木。
ギャルデの服と組み合わせられるなど店内で相性が良く、売り上げの面でも相乗効果を得られ、これから先も長く付き合っていけるブランドを探した。
今の生活の日常着
直営店は2区画に分かれた作りになっていて、奥に新たな3ブランドが並ぶ。
ソンを出した高田は、タージュで合同セールに参加するなど以前からつながりがあった一人だ。「自前の店はなく卸がメインなので、今の状況では打撃が大きい。ふさぎがちになっていた」と話す。大人のための上質なジャージーのリラックスウェアは、当初はジェットセッターのためというのもコンセプトの一つだったが、今はまさにリモートのおしゃれな日常着。イージーケアでヨガなどにもぴったりだ。Tシャツやプルオーバー(1万1000円から)、今っぽいシアートップ、トラックパンツ、ドレス、ロングカーディガン(2万5000円)などがある。
ヌエンはプラスチック二次加工の田中化工(大阪府八尾市)がその技術を生かして作る。クリアと半透明のブラック、表面をマットに仕上げたタイプなどピアス、リング、バングル、ネックレスがあり、シンメトリーとアシンメトリーの独特のカッティングと光り方が魅力だ。ピアスで6000円台、バングル2万円台など。
新しい売り方に可能性
JNBYはギャルデがパリのトラノイ展に参加していたころから縁のあるブランドだ。以前は日本にも店があったが今はなく、ECのみ。ここでは販売でなく、サンプルを見せるコーナーとした。ブランド側のサイトからも案内し、実際に見たり試着したりして、ECで購入してもらう。蛍光グリーンや鮮やかなオレンジのちょっと変わったシルエットや編み方のプルオーバー、肉厚な生地を使ったセンターシームのフレアパンツ、ネック回りにギャザーを入れたフード付きショートコートなどが揃う。この新しい売り方にも今後の可能性が広がりそうだ。
この場所をシェアするブランドは、入れ替えるのでなく、増やしていく計画という。自社ECでは売り上げを増やそうと新しい仕組みにトライしたり、問い合わせに丁寧に応じたりもしているが、「(商品に)触ることができる場所はなくならない」と真木は話す。