エシカルな素材使いで知られるジュエリーブランド「ハスナ」(ハスナ)が、デビューから10年を経て、旗艦店の表参道本店を移転リニューアルオープンした。明治通りと青山通りの間に位置する路地に面し、約2倍の広さになった。ブライダルの接客にも十分なスペースができたほか、バックヤードに職人が常駐し、カスタムオーダーや修理にもスムーズに対応する。
(中村維)
白を基調としたシンプルで洗練された約40平方メートルの空間には、フォトグラファー、大矢真梨子氏のダイヤモンドを抽象的なイメージで捉えた作品が飾られている。
リニューアルを記念し、あこや真珠を使った新コレクション「ブレス」も発売。みかんの有機栽培の推進など、真珠を育む生態系を地域が一体となって守る愛媛県西予市明浜町の真珠を使用したジュエリーだ。
サステイナブルな発展に向けて
ハスナは白木夏子代表が09年4月に設立し、エシカルブランドの旗手としてデビューして10年が経つ。この間、ブランディングにも注力しながら、コレクションの幅を広げてきた。市場の変遷や今後のビジョンについて聞いた。
――市場の変化について。
始めたころは、誰もエシカルなんて知りませんでした。それが今では、サステイナブル(持続可能な)、SDGs(持続可能な開発目標)、トレーサビリティー(履歴管理)といった言葉や取り組みを業界全体が意識するようになり、素晴らしいことだと思っています。こんな風に広まったらいいなとかつて願っていた状況になってきています。
――ビジネスの現状は。
今回リニューアルした表参道本店とECを軸に、一部セレクトショップなどへも卸し、期間限定店でも販売しています。今後は、本店とうまく融合させる形で、ECをより強化できればと考えています。
――今力を入れているのは。
日本の職人さんたちの技術の継承です。国内のジュエリー市場は縮小傾向にあり、そのしわ寄せを受け、職人の仕事が減り、工賃も非常に抑えられている現状があります。その技術は高く、皆さんとても真摯(しんし)にジュエリー作りをされていますが、このままでは継ぐ世代がいなくなってしまう。
今回取り組んだあこや真珠のコレクションもその一つですが、日本のジュエリー作りのサステイナブルな発展に向けてどうしたら良いか、追求したいと考えています。