90年代後半から00年代にかけて、本紙にストリートスナップの記事をたびたび掲載していました。30年近く前の、都会の一瞬を切り取っただけの記事ではありますが、その背景を店や企業に取材し、ときには売り上げなどの数字も入れていて、当時の商売の動きも少しわかります。“平成リバイバル”など様々なレトロが注目を集めている昨今、改めて読み返すことで、ビジネスに通じるヒントが見えてくるかもしれません。ベテラン記者が振り返ります。
※本文は読みやすく直しています。社名やブランド名などは原文のまま掲載します。
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お尻が見えても「平気」 〝超浅〟すれすれジーンズが売れてます
2000年5月12日付

股上がものすごく浅いジーンズが売れている。お尻が見えそうな、というより見えている女の子もいるほど。ヒップハンガーではなく、腰骨の下あたりで止まっている。昨年から売れていたのだが、ここへきて急激に目立つようになった。
「日本人のカッコ悪いお尻は、思い切り股上を短くした方が形よく見えるんです。お腹のラインもすっきりします。要はコンプレックスのカバーということですね」というのは、定番ジーンズが人気のショップ、ココルル。股上が深いとお腹もポッコリ見えてしまうので、おへその下が7、8センチ空いたほうがいいのだ。ココルルのベルボトムは股上(前)20センチ。といっても全体のシルエットが決め手なので、股上の浅いのはベルボトムとサブリナ、ショートパンツ。ストレートはやや深めにしている。
エゴイストの定番ジーンズも股上が浅い。前が20センチ、後ろ28センチ。リーバイスのジーンズは浅いもので前が24センチ、深いもので26センチ。後ろはどちらも33センチというから、エゴイストもココルルもかなり浅いことがわかる。はいているのはヤングのなかでも大人っぽいファッションの人たちだ。きれいにまとめないとカッコよく見えないし、肌見せスタイルには気合いも要る。
多くのショップやブランドが出していて、ますます広がりそうな股上〝超浅〟ジーンズ。原宿では派手な柄のTシャツやスタッズのベルトと合わせてハードに仕上げたり、エレガントな細ベルトとサングラスでリゾートっぽくこなした姿が目に付く。渋谷の方がシンプルなスタイリングだ。もっともどちらにしても、お尻が見えても「気にならない」のは同じ。「(股上が)深いと、はいててキモチ悪い」のだそうだ。
《記者メモ》
このローライズはけっこう激しくてびっくり。今よりもずい分、大胆でした。
(赤間りか)
