5月20日付の「編集局長が会いに行く」のゲストは、デザイナーのコシノヒロコさん。デザイナー歴は60年以上、画家としての顔も持つ。20代の記者にとっては、デザイナーとしても、一人の人間としても憧れの存在だ。若狭純子編集局長が「会いに行く」のに着いて行くと、「若い人へ」の言葉をたくさんいただけた。抜粋して、同世代、次世代に届けたい。
(本社編集部=松本寧音)
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背伸びしないこと
「死ぬまで輝いていたい」。きらきらしたまなざしで語ってくれたコシノさんが脳裏に焼き付いている。御年87歳にして、ブランド「コシノヒロコ」は24~25年秋冬から新たな試みを始める。
どうしてそこまで元気でいられるのか。「少し疲れちゃったなと思う時はないですか」と聞いた若狭編集局長に同感した。「『ファッションをやってきたから若い』と言われるが、そうじゃない。その年齢でしかできないことをやって、楽しめばいい」とコシノさんは答えた。
では、「若い」我々に今できることは何なのだろう。それは「身近なものからクリエイションしていくこと。発想は遠くに持っていかないで、背伸びしないこと」だと話す。
コシノさんは、スタイル画を筆で描く。「描きながら違うものができることもあるが、つらいときに止めてはだめ。もう一度、違う角度から考えてみるとつかめる。粘り強く、辛抱して努力する」。努力しないと良いものは与えられないと、踏ん張ってきたから今がある。
「ファッションの根底にある重要な役割」を担っているのが、アートだという。たとえ最初は解釈が難しくとも、美術館に訪れることが大切。いろいろなものを見ていると「美意識や感覚は自然に備わっていくもの。どんどん勉強して大人になっていけばいい」。でも、焦らなくてよいとのこと。