卒業生にはジミー・チューやJ.W.アンダーソンといった著名なデザイナーの名があがる名門、ロンドン・カレッジ・オブ・ファッション。
そこはファッション・デザイナーへの夢を実現すべく、ヒロインが入学した学校だ。
華やかな「60年代ロンドン」への憧れと共に上京し、希望に満ちたソーホーでの新生活の幕開けを飾るはずが…
不思議な能力を持つ彼女ゆえに、次々と目にするミステリー現象と共に紡がれる、現在公開中のシネマ『ラストナイト・イン・ソーホー』とは?
❝僕はロンドンと60年代が大好きだ❞
と語る本作監督、エドガー・ライト。
そんな監督と共に本作に登場したリアル60’s体験者たちの顔ぶれも要注目だ。
たとえばヒロインが暮らす部屋の所有者を演じるダイアナ・リグは、『女王陛下の007』(69)でボンドウーマン役をはじめ、映画のみならず舞台やTVドラマなど幅広く活躍した当時を代表する女優の一人(本作を最後に天に召された)。
同様に『007/ゴールドフィンガー』やザ・ビートルズの『ハード・デイズ・ナイト』などに出演し、監督いわく「彼女は60年代の中枢にいた」マーガレット・ノーラン(昨年10月に他界)。また銀髪の怪しげな男役のテレンス・スタンプもその時代を知る一人。
そうした時代の空気を演出するのは、音楽はもとよりファッション、メイクに対するこだわり度の高さも格別だ。その裏付けとなる本作の貴重な資料の一部を下記に共有したく。
◆ファッション編
60年代のロンドンを舞台にした『17歳の肖像』で英国アカデミー賞にノミネートされ、その年代のファッションに精通する衣装デザイナー、オディール・ディックス=ミロー。
主にブリジット・バルドー、シラ・ブラック、ジュリー・クリスティ、ペチュラ・クラークを基準に、ドキュメンタリーや映画の資料を収集。さらにファッション・デザインを学ぶ学生たちを訪問し、彼らの取り組み方をリサーチしたそう。
・新聞のドレス
❝冒頭でヒロインが着用する新聞で作ったドレスは、彼女を逆光で照らすショットがあるため、シルエットが重要な上、着て動けるものであること。またそのドレスを見て分かるのは、彼女は既に型紙を上手に起こせるということ❞
ちなみに細部へのこだわりとして、ヒロインの故郷「コーンウォール」の日刊紙を使用していると知り、脱帽!
・60’sに生きた歌手を夢見るサンディのドレス
ヒロインの現代のファッション・デザインに影響を与える何かを表現するシグネチャー的「テント・ドレス」は、上品さが香る60年代正統派スタイルだそう。
ブリジット・バルドーをベースにしたという登場人物のブロンドのヘアを引き立たせる、コーラルピンク色でコーディネート。
◆ヘアメイク編
主演女優の二人(ヒロインと、彼女がシンクロしていく60’sの歌手志望のサンディ)は、似ている必要があるものの実際は異なり、プロダクション・デザイナーのマーカス・ローランドが作った色調に、口紅の色さえも合わせ、60年代スタイルを魅力的に演出。
「若いキャラクターを軽快でフレッシュに、そして最終的にとても美しいけれど、かなりくっきりしたセクシーな仕上がりへと実現させた」とのこと。
シネマの醍醐味の一つでもある、物語の進展に伴い変化を遂げるファッションやメイク、そして時空を自在に旅する楽しみを本作でも!
『ラストナイト・イン・ソーホー』
TOHO シネマズ日比谷、渋谷シネクイントほか全国公開中
配給:パルコ ユニバーサル映画
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「世界地図を覆いつくす」と称しても過言ではない、長引くコロナ禍によるマスク生活、そしてオンライン化の加速に伴い酷使しがちな目、そして心身のケア…
健やかな時代の到来を心待ちしたくなる。
というわけで2021年のイヤーエンドな「CINEMATIC JOURNEY」のテーマは、「around EYES~時の経過と共に」。そんな世相を反映した話題をここで少しばかり。
◆その1
「まばたきや、知らぬ間に目をこする、アイメイクをするといった日常的な表情の動きや摩擦などによるメカニカルストレスを受けやすい部分」
とは、コスメブランド「カバーマーク」が、目もとの印象に効果的な製品開発にあたり記した、目もとに関する一文だ。
おそらく各々、共感する部分は異なると思うのだが、その研究成果が凝縮された完成品「モイスチュア リッチ リンクル クリーム」(画像上のチューブ)を心待ちすることとなった筆者は、デイリーケアの1アイテムに加えることとなった。
なぜなら男女を問わず、健やかな「around EYES」の土台作りに向けて研究開発をする過程で、極上のカクテルを完成するがごとく、配合された成分へのこだわりにも魅了されたから。
とりわけ、現地に赴き体験するほど長年興味のあるインドの伝統医学「アーユルヴェーダ」でも使用しているクスノハガシワエキス、また肌本来の抵抗力や回復力を高めながら基礎体力を養う6種類の「和漢エキス」といった、超個人的2大キーワードも相まって!
◆その2
おそらく世代間のギャップが生じるとは思うのですが…
「アイプチ」というブランド名は、「ひとえ・奥ぶたえのベストサポーター的役割を担う存在」と称したい。(と筆者は思う)
1967年の誕生以来、さまざまなまぶたを考え、数多くのデータに基づき、製品開発を続けてきたブランドだからこそ昨年春、満を持して誕生した「アイプチ ビューティ シリーズ」。中でもオリジナルのアイラッシュカーラー(画像上)は、「日本人の眼球サイズ×まぶたの厚み」に着目し、ひとえ・奥ぶたえの目をパッチリ見せるのに理想的な「角度130°まつげ」へとナビゲートしてくれる。
もちろん使用者を限定しているわけではないので、目もとスッキリ気分を日々実感。
ちなみに、そんな「角度130°まつげ」をキープするパートナーとして誕生したマスカラも定番色に加え、毎シーズン人気の限定色「2022年春」バージョン2色のイメージ画像を下記に!
「around EYES~時の経過と共に」をテーマに、2021年のイヤーエンドを飾る「CINEMATIC JOURNEY」。
そのフィナーレに登場願うのは、その目力も魅力のロック・スター、デヴィッド・ボウイ。
残念ながらすでに夜空の星となってはいるものの、来年1月8日には生誕75年、そして彼をスーパースターへと導いたアルバム「ジギー・スターダスト」誕生50年(1972年6月16日発売)を記念して、新春1月7日より公開となる『ジギー・スターダスト』。
「彼自身が製作に関わった生涯最高のライブ映画」というキャッチコピー通り、劇場はいつしかライブ会場気分へと誘われる。
また度々、彼の衣装を手掛け親交が深いファッション・デザイナー、山本寛斎が日本人初のロンドンでコレクションを発表したばかりの頃、手がけた衣装をまとうステージも!
5年後に滅びようとする地球に異星からやってきたスーパースターという設定のジギーことボウイは、今という時代の先を早くも生きていたような…
『ジギー・スターダスト』
2022年1月7日(金)よりBunkamuraル・シネマ、1月28日(金)よりUPLINK吉祥寺ほか全国順次公開
配給:オンリー・ハーツ
©Jones/Tintoretto Entertainment Co.,LLC
2021年もグローバルに、シネマな旅をご一緒した「CINEMATIC JOURNEY」。
今回ご紹介した2作品同様、映画とファッション&メイクの相乗効果は、どんな時代も密接な関係にある。そして前述のデヴィッド・ボウイをはじめ、それぞれの個性を演出する「around EYES」は、やはりメイクの要と言えるだろう。
そこで、そのブランド名からして、ステージングへのこだわりが高いボウイとリンクするかのようなブランド「オペラ」。
このほど約3年の開発期間を経て完成したという、カラーアイメイク製品の話題を最後に「+1」したく。
「主張しすぎないカラーリングが、なりたい自分へと導いてくれる」
そんなファンの声を耳にする機会が多い、リップメイクで人気のブランドらしく、絶妙なニュアンスが魅力のカラーリングマスカラ(ダスティピンク、ディープパープル、コッパーブラウン、ブルーほか)とアイカラーペンシル(ピンクグロウ、ブラウンレッド、マンダリンほか)の、随時アップデートされるカラーパレットから、ファッション感覚でコーディネートを楽しみたくなる。(下記画像は一例)
サステナビリティや環境保護などへの興味関心が、高まり続ける背景を受け、自然界とリンクさせたという今シーズンのテーマ「Dreaming Earth」は、宇宙へ旅立つ時代にマッチしているようにも感じる。
うさみ・ひろこ 東京人。音楽、アート、ファッション好きな少女がやがてFMラジオ(J-wave等)番組制作で長年の経験を積む。同時に有名メゾンのイベント、雑誌、書籍、キャセイパシフィック航空web「香港スタイル」での連載等を経て、「Tokyo Perspective」(英中語)他でライフスタイル系編集執筆を中心に活動中