スウェーデンのクリエイターたち(宇佐美浩子)

2016/12/13 16:28 更新


「日本の生活にも、なんとなくシックリと馴染むような…」ーーそんなテイストが魅力の北欧デザイン。家具や食器、またファッションやコスメなど、さまざまな分野にわたり、私たちの生活の中に自然に溶け込んでいるように思う。

思えばつい北欧と称してしまいがちなため、「エリアが曖昧になっているのでは?」と、今一度ネット検索してみたところ...

ノルウェースウェーデンデンマークフィンランドバルト三国ブリテン諸島アイスランドを北欧諸国と表記される」とのことだ。

というわけで今回のCINEMATIC JOURNEYの向かう先は北欧諸国✈スウェーデンへ✈✈

 

 

 

スウェーデンで国民の5人に1人が見た、史上3位の記録的大ヒット映画❞ というコピーにきっと心動かされる方も多かろう「幸せなひとりぼっち」

先日、脚本も手掛けたハンネス・ホルム監督が来日し、直撃インタビューをする機会を得た。そこで、その内容をシェアする前に、まずは本作のあらすじを簡単に――

 愛妻に先立たれ、43年勤務した会社も突然解雇。

歳を重ねるごとに気難しさを増し、周囲との溝も深まるばかり。

規律に厳しい、元自治会長歴もある、ひとりぼっちの59歳、オーヴェ。

遂に彼は妻の元へと旅立つことを決意する。

と、その瞬間、予想外の事態が発生!?

全く異なるタイプの新隣人が出現したのだ...

 といった、なんともスパイスの効いた笑いが、味わい深さを増すストーリー。だからこそ、世代も超え、さらには国境も超え、多くの観客のハートを鷲づかみしたのかもしれない。

そんなヒット作の生み親ことホルム監督は主人公同様、スウェーデン生まれの50代。それでは早速、監督のコメントの数々をシェアいたしましょう!

 

 

 

❝映画にとって衣装はすごく重要なんです!

 ひと目見ただけで、その作った時代がすぐわかってしまいますから。もちろん時代劇はまた別の話ですけどもね(笑)。本作は、それほど時代に配慮しなくても構わないとはいえ、主人公のオーヴェがそれなりに歳を重ねている。だからといって古く見えても良くないし…と言う意味でも、すごく難しかったですね。

 ちなみにオーヴェの衣装は、ごく普通の服という設定なんですが、実のところ、特徴のある衣装を探すのは簡単で、それとは反対に、ごく普通の服をみつけるのは至難の技なんです。

 たかだかブルーのジャケット1枚をみつけるのに、なんと数カ月もかかって、「やっと!」といった感じでしたね。だからごく普通の服で、色のイメージが、きちんとあったものを探すのは、なかなか大変なことなんですよ。

 参考までに、「オーヴェが自殺するというのに、なぜドレスアップするのか?」というのは、亡き妻ソーニャと会うためなので、きちんと着飾っているというわけなんです

 

 

 

さて、物語の進展につれ、いまなおオーヴェはどれほど妻を愛しているかが伝わってくる。加えて彼の心模様の変化も色が物語っているかのような…そんな思いがよぎる。そこで早速監督に尋ねてみると――

❝最初に申し上げておきたいのですが、実は私、色盲なんです!珍しい監督でして...❞

一瞬、返す言葉が見つからない私ではあったが、当然のことながら、それとこれとは別問題!

 作品全体で、色にまつわるアプローチというのは考えられています。基本の色はブルー。そこに妻、ソーニャが関わることにより、また物語がエンディングに向かうにつれ、一つの色だったのが、だんだんと多彩になってくるわけです。

ですので、衣装と撮影のスタッフと一緒に、色のアプローチについてはよく話し合いましたね。基本的には冷たい色彩から、だんだんと暖かい色彩に向かっていく、という構成です

 作品を鑑賞されれば「同感!」されると思うのだが、ソーニャのカラフルな北欧ファッションが、なんとも気分を上げてくれるわけでして...。

❝色のことに気づいてくれてウレシイ❞

と、語られた監督の言葉に私もウレシクなった☺ そして締めくくりの言葉もまた、クリエイター魂を実感した。

 当然のことながら、観客は映画を見ている訳で、作られた世界ってわかっているのです。デザイン全般から、衣装から、全てにおいて。それをいかに自然なものとして信じさせるか、受け入れさせるか。それゆえ全体で一つのハーモニーを奏で、視覚的に機能していないと、観客には信じてもらえないのです。そうした全てを限られた予算内に収めるため、いろいろなところで工夫はしています(笑)

 

 
12月17日より新宿シネマカリテ、ヒューマントラストシネマ渋谷ほか全国順次ロードショー
©Tre Vänner Produktion AB. All rights reserved.

 


ここで、少しばかり寄り道的話題「シネマに登場のタフなヒロイン」について...

前述の作品に登場する主人公の亡き妻ソーニャ。彼女は事故で大けがを負い、車いす生活になりながらも決してくじけることなく、また持ち前の明るさを失うことなく、教師としてのキャリアを積んでいく。

同様に、周囲からの逆境にめげることなく、愛と信念を持って患者と向き合った実在の女医を描いた『ニーゼと光のアトリエ』。そのヒロイン、ニーゼの気高き生き様にも感銘を受けた。



 また、今春公開になり、当コラムでも紹介した、北欧ブランド「マリメッコ」の創業者を描いた映画『ファブリックの女王』。そのヒロインこと、マイヤ・イソラの雄姿にも。

ちなみに、記事にも掲載した『マリメッコ展』がいよいよBunkamuraザ・ミュージアムで12月17日から来年2月12日まで開催に!

ここで再び、スウェーデンにスポットライトを当ててみたく。思えば今年、世界的に有名なミュージシャン、ボブ・ディランが受賞し、話題を集めたノーベル賞の創設の国でもある。そんなお国柄を反映し、さまざまな発想豊かなアイデアが誕生している。

 

 

 

前述の監督と、時を同じくして来日した3人のデザインユニット「Claesson Koivisto Rune」(クラーソン・コイヴィスト・ルーネ)もまたスウェーデン、ストックホルムを拠点に、世界的に活躍している。「より美しく、より機能的でなければならない」と自らのスタイル哲学を語る彼ら。

 

 

 

新たなチャレンジとなったのは、デザインとサイエンスに着目したプロダクトを創造する、日本の医療機器ブランド「&MEDICAL」のマッサージ機「soft stone」。

その名の通り、柔らかな丸みを帯びた小石のような2種類のプロダクトは、オブジェのように部屋の中に置いておきたいと思わせる「nice&friendly」なデザインとなっている。

 





うさみ・ひろこ 東京人。音楽、アート、ファッション好きな少女がやがてFMラジオ(J-wave等)番組制作で長年の経験を積む。同時に有名メゾンのイベント、雑誌、書籍、キャセイパシフィック航空web「香港スタイル」での連載等を経て、「Tokyo Perspective」(英中語)他でライフスタイル系編集執筆を中心に活動中



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