祝!日本のアニメ映画100周年(宇佐美浩子)

2017/08/17 18:20 更新


1917年、それは記念すべき日本でアニメーション映画が誕生した年という。それから1世紀の間に、もはや日本はアニメ映画大国と言っても過言ではないほど、進化と発展を遂げている。

「はたしてその間にどれほど多くの作品が誕生し、人々はそれらに触れ、そして感動を共有しているのだろう?」

などと想像をふくらませてしまいそうだ。

折しも東京国立近代美術館フィルムセンターで9月10日まで開催中の展覧会「人形アニメーション作家 持永只仁」の持永氏は、アニメにまつわるさまざまな技法(切り絵、セル、影絵など)がある中、新たな分野を開拓した人物として知られ、また映画作家ティム・バートンも幼き日に氏の作品の一つ『怪物の狂宴』に魅了されたと語っている。

一つ一つ手作りの人形たちを見ていると、それぞれ身にまとっているミニチュアサイズとはいえ、制作者の熱い思いと技が創り出す「オートクチュール」の衣装の数々に、きっと見入ってしまうだろう。

『ふしぎな太鼓』(1957 年)より

そこで、8月最初の「CINEMATIC JOURNEY」は、「祝!日本のアニメ映画100周年」をテーマに、新作アニメ『フェリシーと夢のトウシューズ』に登場する衣装にまつわる話題などをシェアいたします!


古今東西、女の子が小さい頃に習うお稽古事の定番リストに挙げてもよさそうなのが「バレエ」。キラキラと美しい衣装を身にまとい、軽やかに舞う姿に、やはり憧れを抱くのが女ゴコロではないかと思う訳で。

本作は19世紀末、エッフェル塔建設中のパリを舞台に、バレリーナを夢見るヒロイン、フェリシーが繰り広げる一大冒険物語。そば粉のクレープ「ガレット」で有名なブルターニュ地方の孤児院を抜け出し、発明家を目指す親友ヴィクターと共に夢の実現に向けパリを目指す。そこで、偶然なのか、必然なのか?

おそらく誰にでも人生で幾度かは訪れるであろう、運命の出会いが待ち受ける。そしてフェリシーは夢の階段を一段ずつ、登り続けていくことになる…

スクリーンでご覧になる際、きっと感動すると思われることの一つが、やはりアニメを超えたリアルな印象の手の表情の美しさや登場事物の動きにある。

聞けば、パリ・オペラ座バレエ団芸術監督のオレリー・デュポンとジェレミー・ベランガールが手掛ける、登場人物たちのダンスの演出にあるという。全キャラクターの全シーンを踊って見せるなど、そのこだわりはプロ中のプロがなせる技といえよう。スクリーンで要チェックのほど。


続いて、本作の魅力の一つともいえるのが、登場人物が身に着ける「リアル」なブランドの品々。たとえば、ラストシーンのティアラや、メラントゥ先生の杖などをデザインしたのは、かの老舗ジュエリーメゾン「ブシュロン」

とりわけアーカイヴに写真が残るティアラは、思わず女子の瞳が釘付けに☆

1904年に制作されたプラチナとダイヤモンドで「ombelles(散形花序)」を表現した作品を3D CGIで再現した下記画像は、❝ヒロインが夢をかなえる象徴❞として、スクリーンにより一層のキラメキを添えている。


それからもう一つ。タイトルにもなっている通り、バレリーナ必須のアイテムといえばトウシューズ。中でもファッションアイテムとしても人気があるパリのメゾンといえば「レペット」

ここで今更レペットについてご紹介するまでもないとは思うのですが、一応。

❝1947年、バレエ用品店を営む当メゾン創業者、ローズ・レペットの息子で、振付師のローラン・プティの助言によりデザインしたダンスシューズ。そのことがきっかけとなり、今やバレエシューズを筆頭に、世界で愛されるメゾンの一つに数えられる❞

フェリシーの夢は、レペットのトウシューズと共に羽ばたくことができるだろうか?


フェリシーと夢のトウシュー

8月12日(土)より新宿ピカデリーほかにて全国公開

© 2016 MITICO - GAUMONT - M6 FILMS - PCF BALLERINA LE FILM


というわけで8月最初のCINEMATIC JOURNEY「祝!日本のアニメ映画100周年」。締めくくりにはこんな本のご紹介を!

アニメとはやや趣が異なるのですが、ピクセル単位で描き込まれた絵画のことをドット絵「ピクセルアート」と呼ぶそうで、その昔流行した「インベーダーゲーム」にも似た、温かな懐かしさが特徴的ともいえそう。

そんなピクセルアートのパイオニアとしても知られているドイツ人3人組アーティストeBoyが、先日、「トラベルブック 東京」の出版を記念して来日し、サイン会などが行われ、お目にかかる機会を得た。ちなみに本書は旅をテーマに、2013年からルイ・ヴィトンが出版しているシリーズで、現在12都市13シリーズが刊行されている。

さて、そんな彼らが「好きな東京は?」というと

「やっぱり料理の美味しさは一番だね。それからジブリ(三鷹の森ジブリ美術館?)とか、文京の谷中とか...」

と本書を制作する際、東京のあちこちを訪れ、体験したことを各々楽しそうに話してくれた。

いわばeBoyによる「東京の絵日記」。

そのつづきを独自にプランしてみたくなった☺

  Ⓒh_usami




うさみ・ひろこ 東京人。音楽、アート、ファッション好きな少女がやがてFMラジオ(J-wave等)番組制作で長年の経験を積む。同時に有名メゾンのイベント、雑誌、書籍、キャセイパシフィック航空web「香港スタイル」での連載等を経て、「Tokyo Perspective」(英中語)他でライフスタイル系編集執筆を中心に活動中



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