学生団体のJ・クラフテッド 産地と連携プロジェクト

2019/05/28 06:25 更新


 専門学校の学生が主体となり、国内産地の物作りを学び、職人らの技術を広く発信しようとする産学連携の試みが動き始めた。文化服装学院の学生4人が中心となって18年5月に発足した任意団体「J・クラフテッド」(新井翔大郎代表)で、若い感性と情熱を産地の活性化につなげる。

 J・クラフテッドは文化服装学院2部服装科3年の新井代表らが「各産地を訪ねると、工場は高齢化が進み、衰退している現状を見聞きした。生地や縫製の技術をここで絶つわけにはいかない」と、自発的に立ち上げた。

 足を運んだ国内産地は新潟・小千谷、群馬・桐生、京都・西陣、兵庫・西脇、福岡・久留米などで、物作りの工程を学ぶとともに、その技術や伝統をSNSを活用して消費者や学生に広く伝える活動をしている。同団体に参加する学生は現在10人だが、学内外で賛同者を増やしており、大阪の上田安子服飾専門学校の学生とも連携する。

 産学協業プロジェクトの第1弾として、1日に桐生でファッションショーと展示会を開いた。ショーではジャカード織物、縫製を桐生産地の企業と連携し、学生や新進ブランドの作品14ルックを見せた。展示会は学生のデザインを反映したテキスタイルなど、現地企業の商品の紹介を盛り込んだ。

 今後は「西脇のテキスタイルと西陣の染色を掛け合わせた産地間の協業プロジェクトなど活動の幅を広げていきたい」(新井代表)という。

 課題は活動資金の確保を通じた継続性だ。第1弾の桐生での試みは、須裁(桐生市)のテキスタイル無償提供や桐生市の一部支援もあったが、会場費など運営経費や縫製工賃など制作費は自己負担が大きかった。そのため、産地と学生の協業による物作りだけでなく、受注・販売までを一貫する仕組みやクラウドファンディングによる資金調達などに着手する。「我々が発信することで、若い人たちに日本の物作りの魅力を感じてもらいたい。後継者を生み出す環境作りにも結び付けたい」と話す。

企業、行政、学生らの賛同者で開いたファッションショー(1日、桐生市で)


この記事に関連する記事

このカテゴリーでよく読まれている記事