若手クリエイターの発表の場として続いてきた「神戸デザイナーズコレクション」(KDC)が新たな段階に入った。実行委員会形式となり、今年から企画を年2回に拡大。高校・大学・専門学校の学生を対象にした新企画「バース」を2月に開催し、7月31日にはジュニア・一般部門を神戸ファッション美術館で開く。実行委員長の長井宏昭さんは「アートで生活できる世界を実証したい」と語り、学生と企業を結び付ける場作りを目指す。
(津田茂樹)
若者に交流と刺激
KDCはもともと子供たちが廃材を使ってドレスを作り、ショーで披露するイベントだった。ただ来場者は子供の保護者が中心となり、長井さんは「お遊戯会のようになっていた」と感じていたという。そこで多世代のアートやクリエイションが交わる場へと方向を転換した。
ファッションを切り口にしたのは「アートの中で最も伝わりやすい表現だから」。デザインを学ぶ高校や専門学校、大学、さらには職業としてのデザイナーの活動を見せることで、ファッションを志す若者の交流や刺激の場にする狙いだ。「文化祭のような盛り上がりを作りたい」と語る。
その新しい試みが、学生主体のイベント「バース」だ。25年に5校で始まった取り組みは9校に増えた。2月23日に神戸市の須磨区文化センターで開いた今年のバースは、定員200人を超える250人が来場した。

ショーはランウェーだけでなく、プロジェクションマッピングによる演出や音楽なども組み合わせた。17歳の女子学生がこのイベントのために制作したオリジナル曲『バース』を歌い上げて幕を閉じるなど、ファッションにとどまらない表現が披露された。来場者アンケートには「進路選択の前に見たかった」という声も寄せられた。
社会の接点広げる
2年ぶりに参加した学生の作品の成長も実感した。「作品だけでなく、人としての成長のストーリーも感じられた」。一方で運営面ではスタッフ不足や事務作業の未熟さなど課題も見えた。体制を整え、7月の本開催に臨む。
7月のKDCは「循環型コレクション」をテーマに、子供、学生、現役デザイナーが刺激し合う場にする。高校・大学の部をコンテスト形式とし、企業の採用にもつなげたい考えだ。企業にとっては採用やプロジェクトの接点になり得る。「協賛ではなく採用予算として捉えてもらえれば」と支援企業を募る。
将来は音楽や造形、空間演出まで学生が担う複数日開催も視野に入れる。スタイリング部門を設け、古着文化のある神戸の小売店や美容学校などにも参加を呼び掛けている。
目指すのはアートと社会の接点を広げることだ。「子供の保護者にも、アートの可能性を知ってほしい」。企業や百貨店、ギャラリーを巻き込み、街全体を舞台にしたイベントに発展させたい考えも描く。
神戸はファッション文化と親和性の高い街だ。「ここをクリエイターが集まる場所にしたい」。KDCを通して、アートやデザインで生きていく道を広げていく考えだ。
