東京の東側にある清澄白河が盛り上がっている。落ち着いた大人の街に、服や雑貨、本など、じわじわとショップが増殖中。昨年から今年にかけて、立て続けに話題の“サードウェーブ”コーヒーショップもオープンし、注目のエリアとなっている。
■文化的な雰囲気
同エリアの大きな魅力は、緑にあふれた地域であること。東京都指定名勝に指定される清澄庭園と隣接して清澄公園があり、落ち着いた環境がある。95年に開館した東京都現代美術館をはじめギャラリーも多く、「アートの街」としても知られており、同地で事務所を探すクリエーターも少なくない。街には駅周辺を除いて高い建物がなく、下町のような雰囲気も色濃く残る。
清澄白河駅のすぐ近くにある生活雑貨店「オンリネン」は7年ほど前、静岡・三島から移転してきた。都内ながら「何もなく、静かなところが気に入った」とオーナーの瀬良田さわこさん。当時、周辺の集客施設は現代美術館、ヨーガンレール本社1階の直営店「ババグーリ」(06年開店)ぐらいだったという。
広々とした店内で手織りの布や生活道具の展示会を行うババグーリと並び、オンリネンも目利きの品揃えで美意識の高い客層を引き込んでいる。「ホームスパン」「手式」などのシンプルで着心地の良いウエア、北欧のリネンクロス、日本製の台所用品といった、暮らしの豊かさを感じさせるアイテムを揃えるほか、デンマーク製の毛糸「イサガー」には目的買いのファンも。独自性の高さが口コミで広がり、地方から来店する客も少なくない。
他にも、現代美術館に向かう通り沿いには、体に優しい定食屋「山食堂」が10年に開業。深川資料館通り商店街にはアート系の古本屋や古道具の店が複数出店するなど、この数年で文化系の客層が散策を楽しむようになった。
また、12年には古いアパートの深田荘をリノベーションした「フカダソウ」が誕生。1階はカフェ、2階は雑貨屋などが入居する集客スポットになっている。