2ヶ月間の日本滞在を経て、ベルリンへ戻ったら地球の裏側かと思うほどの気温差で、夏なんてとっくに過ぎ去ったような寒さだった。しかし、そんな冷夏のベルリンを悲しむ暇もないほどすぐに、連日30度を超える真夏日の続くバルセロナへと向かった。
日本向けのPRを担当させてもらった「Brunch! Electronik Festival」というエレクトロニックミュージックフェスの現地取材をするため現地に向かった。大抵の人に驚かれるが、今回の旅が初めてのスペイン訪問である。なぜ今まで訪れなかったのか不思議なぐらい気候も街も人も心地良くて、仕事とは言え、2泊3日という非常に短い滞在はとても残念に思えた。
日本人のインバウンドも戻ってきているようで、バルセロナに限らず、どこの空港でも必ずと言っていいほど日本語が聞こえてくるようになった。それでも、1ユーロ158円という前代未聞の円安に、半日以上掛かる移動のためにヨーロッパを訪れる人はまだまだ少ないだろう。ニューヨークタイムズによると、バルセロナはツーリストに対して「シティ・サーチャージ」を課すようになったという。1人2ユーロ75セント(440円)だが、2024年4月からは3ユーロ25セント(520円)に値上げされる予定とのこと。「シティ・サーチャージ」は公共設備への投資や環境保護に使われるそうだ。
バルセロナは、地中海に近い建築の街といったところだろうか。無骨なベルリンや中世ヨーロッパの街並みに慣れているため、街を歩いていると突如現れる規格外の巨大なモダニズム建築に圧倒されながら、サグラダ・ファミリア大聖堂を遠くから眺めたりした。美術館やショッピングモールも驚くほど広大な敷地と近代的なコンクリートビルで、近づかないと何の建物か分からないところもあった。ガウディのような象徴的な建築物と近代的な高層ビルが点在し、少し離れたところに美しいビーチが多数存在する、バルセロナはそんな不思議な街だった。
今回の目的はフェス会場でオシャレなラテン美女をキャッチしようと夕方前から張り切って会場入りしたが、残念ながら早い時間は閑散としていて、オシャレなオーディエンスもほとんどいなかった。夜がメインのフェスだから仕方がないけれど、明るい時間も楽しめるのがフェスの醍醐味なはず。撮影をお願いしていた友人とともに会場内をぐるりと回りながら、各ステージや出店ブース、フードエリア、チルスペース、デコレーションなどじっくり見ることができた。
どんより曇ったベルリンとのギャップのせいもあるけれど、とにかくバルセロナの気候が最高だった。暑くて湿度もあるけれど、雨の心配もなく、夜との気温差も気にならず、うっすらかく汗すら気持ちよく感じたほどだ。キラキラ降り注ぐ太陽の光がライティングやレフ板の役割を果たしているかのように、カラフルなフェス会場は美しくて、人気がないことによって映画のワンシーンのような風景を見せてくれた。
以下は、会場内でスナップを撮らせてもらった個性的な来場者やスタッフになるので、是非チェックして欲しい。撮影に協力頂いた皆さん、ありがとうございます!
スペインといえば、ZARAやMANGOなどのカジュアルブランドからLOEWEといったハイエンド、CAMPERなど人気シューズブランドの発祥の地だ。しかし、トレンドを意識したファッションというより、ビキニのブラにハーフレギンス、足元はブーツと露出とボディフィット、そして、機能性を重視したファッションがメインだった。真夏のフェスであれば当然なのかもしれない。しかし、街の中心地やナイトクラブでも同様だった。男性はムキムキのマッチョに短髪、ハードなタトゥーが圧倒的に多く、見た目の厳つさと違い、みんなジェントルだったのが印象的。
次は夏以外の季節にも是非訪れてみたい。
(スナップ=Photography: ucocon)
長野県生まれ。文化服装学院ファッションビジネス科卒業。
セレクトショップのプレス、ブランドディレクターなどを経たのち、フリーランスとしてPR事業をスタートさせる。ファッションと音楽の二本を柱に独自のスタイルで実績を積みながら、ライターとしても執筆活動を開始する。ヨーロッパのフェスやローカルカルチャーの取材を行うなど海外へと活動の幅を広げ、2014年には東京からベルリンへと拠点を移す。現在、多くの媒体にて連載を持ち、ベルリンをはじめとするヨーロッパ各地の現地情報を伝えている。主な媒体に、Qetic、VOGUE、men’sFUDGE、繊研新聞、WWD Beautyなどがある。