ベルリンファッションウィーク中に開催されていたデンマーク発のminimumの2019AW最新コレクションとベルリン発のリキュールBELSAZARのコラボレーションパーティーへと足を運んだ。
minimumはトレンドをうまく取り入れたカジュアルなスカンジナスタイルに定評のあり、ベルリンでも若い層に人気のブランド。北欧系ブランドを中心としたセレクトショップ「Kauf Dich Glucklich」などで取り扱っており、値段も手頃。現在はレディースブランドとして認知度も人気も高いが、実は99年のデビュー当時はメンズブランドのみでスタートしており、のちにレディースラインを展開するようになったというユニークな背景を持つ。
2019AWはブラウンを基調としたアイテムが多く、太めのコーデュロイ、ヒョウ柄、パイソン柄、グラフィカルな総プリント、ブラウンにと相性の良いマスタードイエローのアイテムなど豊富に展開されていた。個人的に気になったのは全面に”SCARF”の文字が刻まれたメンズのロングマフラー。触り心地の良い柔らかいウールとチョコレートブラウンとベージュの配色も絶妙。寒いベルリンでは真冬の巻物はかなり重要であり、大判のストールかロングマフラーと言った見た目にもボリュームがあり、保温性の高いものが最も重宝する。
大盛況の中人を掻き分けて新作コレクションを見るのは大変だったが、会場となった”The FvF apartment”のインテリアが非常にステキで洋服よりもそっちに夢中になってしまった。FvFとはインテリアやデザインをメインとしたライフスタイルマガジン”Freunde Von Freunden”のことであり、以前撮影でお世話になったことがあった。同パーティーの会場となったapartmentは現在はイベントスペースとして使用されているようだが、以前はオフィスであり、その当時からスタイリッシュな内装だったことを思い出した。
レトロフューチャーを感じさせる存在感の強いライト、モダンなオーディオ、stussyのフィギュア、スケートボード、サーフボードなど、ベルリンではあまり見ないセレクトとレイアウトが絶妙だった。パーティー時ではない通常の状態をあたらめて見せて欲しいと思った。
”カクテルパーティー”と題したもう一つの主役であるBELSAZARのリキュールで作るオリジナルカクテルもびっくりするほどおいしかった。ベルリンのファッションパーティーのケータリングと言えば、ビールは当然のことながら、あとはスパークリング、白、赤ワインが基本。カクテルがあったとしても、なぜか大きなキュウリのスライスが入ったやたら濃いジントニックしかない。しかし、今回はボトルデザインもかわいい二種類のリキュールから作るトニックカクテルが提供されており、そのどちらも美味しくて友人と絶賛するほどだった。
ベルリン発ということで今後もどこかのパーティーでお目にかかれることを願っているが、街のリキュールショップで購入が出来るならホームパーティー用に一本欲しいぐらいである。
都市開発ほどではないけれど、ベルリンのファッションシーンも変わりつつあると感じる昨今。ヨーロッパ全体の流れであるシンプルで品のあるファッションの人が増え、逆に個性的なアヴァンギャルドなファッションの人は消えつつある。それはそれで寂しいけれど、洗練されたファッションに目を向ける人が増えることは個人的にも嬉しい。2019年はどんな街並みになっていくのか?アンテナを張りながら今年もじっくりとリサーチしていきたいと思う。
長野県生まれ。文化服装学院ファッションビジネス科卒業。
セレクトショップのプレス、ブランドディレクターなどを経たのち、フリーランスとしてPR事業をスタートさせる。ファッションと音楽の二本を柱に独自のスタイルで実績を積みながら、ライターとしても執筆活動を開始する。ヨーロッパのフェスやローカルカルチャーの取材を行うなど海外へと活動の幅を広げ、2014年には東京からベルリンへと拠点を移す。現在、多くの媒体にて連載を持ち、ベルリンをはじめとするヨーロッパ各地の現地情報を伝えている。主な媒体に、Qetic、VOGUE、men’sFUDGE、繊研新聞、WWD Beautyなどがある。