クラボウは3月25日に開いた取締役会で、繊維事業の構造改革の一環で自社の紡織拠点である安城工場(愛知県安城市)の閉鎖を決議した。原燃料コストの高止まりを背景に採算の改善が見通せなかったほか、設備の老朽化によってコスト競争力が低下していたことが理由。同工場は6月30日に閉鎖する予定だ。紡績、織布のいずれも東南アジアにある関係会社に移管し、グローバルなサプライチェーンに適した供給体制を整え「繊維事業セグメント全体の収益基盤強化を図る」という。
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安城工場は綿・合繊糸の生産と、綿・合繊織物を生産している。紡績の錘数は2万8168錘、織機の台数は125台。従業員数は2月末時点で166人。同工場の閉鎖後は、工場内にある高付加価値素材の開発拠点であるテキスタイル・イノベーションセンター(TIC)の機能を強化する。6000錘の紡機は試紡など開発に活用する。ほかの設備の一部は海外の関係会社に移設する。
基本的には紡織のいずれも海外へ移管する。アップサイクルの仕組み「ループラス」に必要な開繊や、アップサイクル糸の開発はTICで対応する。3次元構造ポリエステル中わた「エアーフレイク」の設備もTICに残す。従業員は「雇用確保を前提に、労働組合とも協議して決定」する。
同社の繊維事業における国内工場の閉鎖は、綿・合繊糸を生産(2万584錘)していた丸亀工場(香川県丸亀市)を20年3月末に閉鎖して以来となる。