22年春夏向けからスタートしたレディスブランド「クオティアス」は、オリジナルで開発したジャカード生地など手の込んだ商品が支持されている。コンセプトは「特別な日常着」。毎シーズン、アートをテーマにコレクションを発表しており、「絵画を見た時に感じるような心が華やぐ気持ちを、日常着でも感じてほしい」(齋藤和歌子デザイナー)と思いを込める。
(小坂麻里子)
華やぐ気持ちを日常着で
クオティアスの24年秋冬物は、19世紀フランスのロマン主義を代表する画家、ドラクロワにインスピレーションを受けたコレクションだ。ドラクロワの描く絵画の、ダークでありながら表情豊かな色彩表現。そこから感じ取った情熱と豊麗さ、繊細さと強さをコレクションに落とし込んだ。
色、柄、素材で絵画に描かれる空や森、湖のあいまいさを表現する。クオティアスが得意とする黒、赤にカーキを加え、群馬県桐生市のジャカードなどオリジナル生地を使用する。
肉感のあるウール糸や色糸、ラメ糸など4種を交織したジャカード生地を使った商品はコート、ワイドパンツ、ジャンパースカートの3型。生地に膨らみを出しドラクロワの描く陰影を表現する。
コートはオーバーサイズのざっくりしたデザインにレトロなボタンをあしらい、襟は人物画で描かれるケープをイメージした。
毛足の長いジャカード生地は黒とカーキのラメ糸を指定し色別注で制作。タイトめのロング丈スカートとドロップショルダーのブラウスを提案する。
国内プリーツ工場の特許技術を用いたスカートとパンツもある。3回加工したプリーツはよく伸び、しわになりにくく家庭洗濯できる特徴を持つ。
リボンの結び方でアレンジできるブラウスやオーバーサイズのアシンメトリーワンピース、切り替えジャカードのシャツなど約15型を提案する。価格帯はアシンメトリーワンピース税抜き5万6000円、ジャカードパンツ4万8000円、ブラウス3万円5000円から、コート7万5000円から。
企業デザイナーから独立
クオティアスは、企業でデザイナーとして約20年間勤めた齋藤氏が独立して立ち上げた。学芸員の資格を持つほど美術館が好きなため、アートをテーマにしたブランドにした。
東京ファッションデザイナー協議会に所属し合同展示会に参加するほか、22年に尾州産地でテキスタイルメーカーと素材開発を行う「令和4年度インキュベーション事業」に参加した。
単独展示会に加え期間限定店も開き、認知度を高めている。立ち上げ当初は30~40代の女性が客層の中心だったが、期間限定店を始めた昨年から20代後半の女性客が増えた。SNSを見て来場する顧客も多い。4月にはセレクトショップなどで24年春夏物の即売会と24年秋冬物の受注会を行う予定だ。