先日、楽天ファッション・ウィーク東京27年春夏で、岡山県出身のデザイナー土居哲也氏が手掛ける「リコール」の10周年ショーを見ました。テーマは「(re)code x (re)menmber」。シャツを上下逆さに用い、複数の衣服をつなぎ合わせるなど、衣服本来の構造や用途をずらすルックが随所に現れます。先輩、仲間、次世代との協業も含め、10年の歩みと、その先の飛躍を感じさせる素晴らしいランウェーでした。
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「誇る」前に「関わる」
ここから思い至ったのが、地方にはもっと「アバンギャルド」が必要だということです。「実験的」「エキセントリック」「コンテンポラリー」と「前衛」は似て非なるもの。新しい素材や手法なら実験的、奇抜ならエキセントリック、時代の先端ならコンテンポラリー。
しかし、それだけでアバンギャルドになるわけではありません。既存の枠組みの中で新しい答えを出すのではなく、「そもそも、それは本当にそうあるべきなのか」と、当然とされてきた前提そのものを問い直す。リコールが掲げた「反転劇」に感じたのも、まさにその姿勢でした。

地方創生というと、伝統工芸や職人技、地場産業といったクラフトマンシップに光が当たりやすいもの。それらを守り、受け継ぐことは重要です。ただ、地域を未来へ動かすには、既存の価値を継承する力と同時に、これまでの前提を問い直し、新しい見方を提示する力が求められるのではないでしょうか。
こうした前衛を地域から生み出していくには、地域側も傍観者ではいられません。以前から違和感があるのが、地元出身者が全国や世界で成功すると、「我がまちの誇り」として称揚することです。
その土地の気候や風土、人との出会いが本人に影響した部分はあるでしょう。しかし、その成功は何より本人の努力によるもの。それを後から地域の誇りとして語るだけでは、言う側に主体性がありません。「その人がそこまで行くために、地域は何をしたのか」という視点が抜け落ちてはいないでしょうか。
圧倒的な実績を残してから声を掛けるのではなく、その前から関係を結ぶ。同じ地域にルーツを持つことを接点に、商品を買う、仕事を依頼する、発表の機会を作る、誰かに紹介する。そうした関係があってこそ、地域も主体性を持って「我がまちの誇り」と言えるのだと思います。
地元協業率を上げる
例えば企業が制服を新しくするなら、地元出身のファッションデザイナーを選択肢に入れる。学校の制服や空間作り、商品開発でも同じです。岡山在住である必要はありません。地域の企業や行政、学校が、地元にルーツを持つクリエイターとどれだけ仕事でつながっているか。私はこれを、仮に「地元協業率」と呼びたいと思います。
成功者を後から郷土の物語に組み込むのではなく、評価が定まり切る前からその存在に目を向け、仕事や協業の相手として考える。同じ地域にルーツを持つ者同士が互いの挑戦に関心を寄せ、必要な時には仕事でつながる。そんな関係の蓄積こそ、地域の財産になるはずです。
クラフトマンシップを守りながら、アバンギャルドを受け入れ、育む。地域から羽ばたく人を後から「誇る」だけでなく、その過程に自ら関わる。私たちが掲げる「地方〝装〟生」には、そんな主体性が必要だと思っています。
※「ローカルトライブ」は今回から「ローカル私論」にタイトルを変更しました。

