アパレルメーカーのマックエンタープライズ(大阪市)が一般医療機器「家庭用遠赤外線血行促進用衣」(血行促進用衣)の製造販売を始める。アレス(神戸市)の複合鉱石粉を使った原料「スパオール」を活用した血行促進用衣のOEM・ODM(相手先ブランドによる設計・生産)と自社ブランド「ラクホグ」で市場開拓を目指す。商品はポリエステル・ポリウレタンの丸編みで作ったカットソー製品。使用した丸編みには、鉱石を練り込んだポリエステル繊維を使うとともに、スパオールのプリントを施して遠赤外線の輻射(ふくしゃ)効果で血行を促進するという。
目付けが190グラム程度でやや中肉の製品は、PMDA(医薬品医療機器総合機構)への届け出を済ませた。一方、目付けが140グラム程度の薄い丸編みを使った製品もあり、現在は臨床試験の結果が間もなく出るという。その結果が血行促進用衣の自主基準をクリアすれば、届け出の手続きを経た上で、主力商品として自社工場での量産を始める。
初回生産はOEMを中心に2万枚程度になる見込み。ラクホグでトップ、ボトムのいずれも1万円台前半を予定している。アレスのサポーターを中心とするブランド「コロバニィ」で発売を計画している新商品の生産も請け負う。
同社は元々、特殊ミシンや刺繍、プリントなどの設備を使ったカジュアルウェアのOEMが主力だった。取引先からの要望をきっかけに、約1年前から血行促進用衣の製造販売に向けて準備をしてきた。その過程で、大手素材メーカーの医薬品・医療機器事業に携わり、工場での生産管理業務や、医療機器メーカーでの実務経験を積んだ専門人材を採用した。同人材の知見が生き、本社で医療機器製造販売業、生地の裁断から縫製、仕上げまで一貫の生野工場(大阪市)で医療機器製造業の許可が下りた。このほど、シルクスクリーン自動印刷機や転写プリント用自動プレス機を導入した庄内工場(大阪府豊中市)でも医療機器製造業の許可が下りた。

並行してアレスとの協業も進めてきた。スパオールと出合い、特性を調べると遠赤外線の輻射による血行促進効果に「優位性があることが分かった」という。これを機に、スパオールのプリントを特徴とすることを決めた。
東本伸二郎会長は「カジュアルウェアは参入しやすい分、競争が激しい。血行促進用衣は医療機器の製造販売業および製造業の許可が下りれば商機がある」と考えた。その上、スパオールを使うチャンスを得て「これが大きな強みになる」と見ている。