山形県のニットメーカー、米富繊維は気候変動による長い夏・酷暑に対応し、24年春夏からメンズ・レディス対象のオリジナルブランド「コーヘン」をはじめ、「ヨネトミニューベーシック」などで、サマーニットを拡充した。この流れは来年の春夏物でも継続する。秋冬偏重型のニットアイテムの売り上げ構成を変えることにもつながる。
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夏の選択肢増やす
コーヘンではファンシーヤーンを使ったローゲージのサマーベストなど、Tシャツとのレイヤードスタイルで夏まで着られるアイテムを提案する。ファクトリーブランドであるヨネトミニューベーシックでは程良い肉感の綿のサマーニットを出した。通常の丸編みではなく、横編みを使っても透けなくて洗えるのが特徴のTシャツタイプ(税抜き1万6000円)だ。シルク100%の強撚糸のサマーニットTシャツタイプもある。
同ブランドの夏の定番になりつつある、横編みリブ仕様のパックTシャツ(7500円)では製品染めのボーダーを個店の別注対応として強化している。大江健社長は「夏のファッションはTシャツ一辺倒になりがちなので、かつてサマーセーターを訴求してきたニットメーカーとして夏のスタイリングを楽しんでもらえる選択肢を増やしたい」とアーカイブを活用した提案にも力を入れる。
混率や肉感見直す
24年秋冬物では暖冬を意識し素材の混率を見直し、肉薄にしたアイテムもある。コーヘンのバーズアイを拡大した柄を乗せたセーターは、ウール100%だと、暖冬の場合に暑過ぎると考え、メリノウール50%・スーピマコットン50%にした。モヘヤ調のニットカーディガンもコットンベースに変えた。ニットによるアウターも軽量対応を重視した。コーヘンは基本的に、メンズ・レディスで共通素材を使い、同じコンセプトの企画を提案している。
(大竹清臣)
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