緊急事態宣言に伴う大型商業施設とテナント・出店者への国の休業要請協力金に関する記事で、「百貨店に入る消化仕入れ・委託販売契約の店舗も支給対象と書いてあるが、事実なのか」との問い合わせを複数の読者からいただいた。記事元の政府の実施要領にはそのような記載がなかったからだ。
記者も要領を読んだ当初は消化仕入れ・委託販売店が含まれるか否か分からなかった。関係者に取材し、「当該店舗の売り上げが当該百貨店にいったん計上され、その後分配される場合であって、当該店舗の運営者の名義等で出店し、百貨店等に対して一定の自律性を持って事業を営んでいる店舗」との記述が消化仕入れ・委託販売店にあたると確認し、報道した。
行政の文書によくあることだが、表現があまりに回りくどく、分かりづらい。これでは、政策が正確に伝わらない。そもそも、政府が情報を広く伝えようとしているのか疑問を感じる。
この件を、ある読者が政府の担当者に問い合わせたところ、「自治体に確認してほしい」と一蹴されたという。実施要領の内容も政府としてメディアには発表していない。
新型コロナウイルス対策を巡る政府の「説明不足」は、これだけではない。この姿勢を改めない限り、コロナ禍で苦しむ事業者や国民からの不信感は払拭(ふっしょく)されず、混乱も収まらない。