6月24日、東京証券取引所スタンダード市場に上場しました。うれしいですが、あくまでもスタートです。上場のために社長になったわけではありませんから。
社長就任は04年6月、33歳でした。創業者が大赤字を出し株を売却して退社。新たなスポンサーから「澤野さんは営業責任者として300人の社員の顔を知っている。君に社長をやってほしい」と指名を受けました。その時点で営業損失15億円。銀行からの連帯保証も10億円くらいありました。ただ、赤字でもお店には笑顔のスタッフがいて、結婚に向け幸せそうにお買い物をされるお客様がいます。現場上がりの自分はそんなお店の空気が好きでした。よそから社長が来たら大量閉店やリストラも有り得る。好きなものが無くなるのは嫌だとの使命感で引き受けました。
約50店舗、年間で黒字転換するには月間6億円の売り上げが必要でした。株主からは、9月の決算月にその目標を達成できなければ、経営陣を一掃すると通告がありました。8月31日、幹部13人を集めました。〝炎の筆入れ〟として思いを模造紙に書いてくれと。そして「みんなと一緒にこの仕事をやりたいんだ」と声をかけ、まずはお客様の幸せを願おう、プリモを通して出会った全ての人の夢(=おもい)を幸(=かたち)にしようとビジョンを共有しました。
結果として9月、目標を達成でき、翌期からV字回復を果たしました。ここを握って絆ができたことが、今思うと大きいですね。20代だった当時の幹部のうち、半数は今も様々なポジションで活躍してくれています。
(プリモグローバルホールディングス社長 澤野直樹)
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「私のビジネス日記帳」はファッションビジネス業界を代表する経営者・著名人に執筆いただいているコラムです。