緊急事態宣言に伴う大型商業施設への休業要請協力金を巡る混乱が収まらない。百貨店に入る委託販売・消化仕入れ契約の店舗は東京都や兵庫県などでは要件を満たせば、協力金が支給されるが、大阪府では支給対象外とわかった。大阪の百貨店と取引するアパレル企業はわずか1日2万円の給付とはいえ、協力金が出ないことに不満を抱き、隣接する兵庫県との違いに困惑している。
緊急事態宣言の法的根拠の特措法(新型インフルエンザ等対策措置法)は国による「基本的対処方針」を原則とし、新型コロナウイルスの感染状況などに応じて自治体が独自の判断で対策を打てる。休業要請協力金は国が自治体に配分する地方創生臨時交付金から支出されるため、事業者への支給は自治体に委ねられる。自治体によって対応が異なるのはそのためだ。
地域に合わせた柔軟な対応は理解できるが、不公平であってはならない。休業要請協力金は百貨店の支給対象店舗に関する国の指針が不明確で、制度全体の説明も不足している。これが不公平と混乱を生んだ。
飲食店を筆頭に、苦しむ事業者は依然多い。補正予算措置を含め、国によるさらなる事業者支援が求められる。にもかかわらず、国会が6月16日に閉幕し、コロナ対策を公に議論する機会は失われた。納得がいかない事業者は多いだろう。