《めてみみ》二極化

2022/10/03 06:24 更新


 瀬戸内海に浮かぶ香川県最大の島、小豆島。何度も映像化された壺井栄の小説『二十四の瞳』の舞台であり、日本一のオリーブ生産や、大阪城の石垣を切り出した石の産地としても知られる。実写映画版「魔女の宅急便」のロケ地となったオリーブ公園の風車の前は、ほうきにまたがり、飛び上がった瞬間を写真に撮ろうと、若者や親子連れが盛り上がっている。

 アニメにもなった漫画『からかい上手の高木さん』の聖地巡礼と見られる客もちらほら見かける。舞台となった土庄町には情報発信基地もでき、街中には高木さんのイラストが描かれたタクシーやバンも走る。土産屋にも名産品と高木さんの協業品が並ぶ。

 聖地巡礼は、〝推し活〟の一つの形。ツアー会社が作った有名観光地を巡る旅もいいが、〝好き〟を追求し、行きたい場所や思い入れのある場所を訪ねる旅の方が、より思い出深くなるだろう。推しの対象はアニメや漫画だけでなく、鉄道や温泉、美術、食べ物、カフェ、海や山など、各人各様でいい。

 趣味嗜好(しこう)の強い旅を選ぶのは、作り手の思いの強いDtoC(メーカー直販)ブランドや、バックグラウンドに共感して購入するクラウドファンディングに似ている。二極化というと価格に対して使われることが多いが、旅やファッションを選ぶ理由も、二極化が進んでいる。



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