《めてみみ》事業基盤を生かす

2022/11/29 06:24 更新


 セブン&アイ・ホールディングス(HD)傘下のそごう・西武の売却先が今月、ソフトバンクグループの米投資ファンド、フォートレス・インベストメント・グループに決まった。フォートレスと家電量販店大手のヨドバシHDが連携し、そごう・西武を再建することになった。

 セブン&アイが親会社となった06年以降、そごう・西武は基幹店に改装投資を集中し、構造改革を行ってきた。不採算店の閉鎖、希望退職による人員削減などリストラ策が相次いだ。店舗は06年度の28店から現在の10店に減った。しかし、セブン&アイとの間で相乗効果を発揮するには至らなかった。

 西武池袋本店やそごう千葉店などの核店舗として「ヨドバシカメラ」を出店することが有力視されている。もっとも、集客力のある家電量販店を核に営業力をてこ入れするだけで、百貨店を再び成長軌道に乗せるのは難しい。ある投資ファンドは「百貨店の強みは顧客基盤にあるが、最大の魅力は都心の好立地にある不動産」と指摘する。

 しかし、そごう・西武は相次ぐリストラで自前の不動産がほとんどない。建物や土地の一部を所有するにとどまる。一方で、更なる店舗閉鎖や人員削減による縮小均衡では負のサイクルから抜け出せない。顧客、地域連携の事業基盤を生かすことなしに、百貨店の再生はない。



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