22年も残すところあとわずか。コロナ禍、ロシアのウクライナ侵攻、元首相の銃撃事件や宗教問題、円安、原燃料や物価高など多難な年だった。業界で一時代を築いた方々の訃報も相次いだ。明るい話題は大リーグでの大谷翔平選手の活躍、サッカー・ワールドカップ日本代表の熱戦だったろうか。
23年は卯(う)年。明治の初め、東京の富裕層を中心に空前の飼育ブームがあったらしい。欧米の産物を次々と輸入し始めた時代である。外来種の飼いウサギを求める人が増え、価格は急騰した。投機目的の人々、詐欺師まがいの人物などがあふれたという。
ウサギのバブルは2年余りで終焉(しゅうえん)を迎える。政府は新たに法律まで作ってウサギ売買の集会を禁じたり、ウサギ税を導入したことでバブルは一気にしぼんだ。東京地方税理士会のイメージキャラクターがウサギなのはこの時の税金騒ぎにちなんだものと言われている。
新年も予想だにしない様々なことが起こるのだろう。「うさぎの登り坂」ということわざがある。前足よりも後足が長いウサギは、下り坂よりも登り坂を走るのが得意らしい。このため、最も得意とする場所で力を振るうたとえを指す。今年も本紙を御愛読頂いた皆様にお礼を申し上げるとともに、新年が得意分野で跳躍できる年になるように期待し、1年の締めくくりとしたい。