春節(中華圏の旧正月)に伴う大型連休が始まった。25年は1月28日~2月4日の8連休。都内の百貨店は先週から訪日客が増えており、福袋などの限定商品や買い物アテンドサービスを拡充している。特に都心店は昨年、過去最高の免税売上高を達成した。今春節商戦に注目が集まる。
一方で課題は少なくない。インバウンドの恩恵は都心にとどまり、地方へ波及するまでに至っていない。「インバウンド需要を自分たちでコントロールし、買い上げ額・頻度を高める施策ができていなかった」(宗森耕二大丸松坂屋百貨店社長)という。為替など、外部環境に左右されない次のフェーズに向けた戦略が欠かせない。
最も重要なのがCRM(顧客情報管理)による顧客化だ。高島屋はシンガポール高島屋のVIP客1500人を対象に、専用会員カードの運用を日本橋店、大阪店、京都店でスタート。外商サロンや免税手続きの優先サービスなどを受けられるようにした。
阪急阪神百貨店も中国・寧波阪急との相互送客など、自社海外店との連携を強める。三越伊勢丹は海外富裕層のニーズを掘り起こそうと海外外商担当を設立し、「海外顧客の反応が良い」(細谷敏幸三越伊勢丹社長)という。専用アプリを今年度から立ち上げ、すそ野を広げて深掘りする。受け身だったインバウンド戦略を、攻めの姿勢へと転換する。