欧州の25~26年秋冬ウィメンズファッションウィークは、デザイナー交代が多いシーズンだ。それも関係してか、ショーの招待者を絞り込んで見せるブランドが目立つ。特にラグジュアリーブランドが大幅に客数を減らしている。
移動の途中で日本のバイヤーと話すと、やはり入れないブランドがいっぱいだという。「そのブランドを買い付けているのに入れないってどういうことなんだろう」とつぶやく。書いているジャーナリストも買っているバイヤーも入れない。ショーを見るのは誰か。
数年前からファッションウィークはSNSで発信するインフルエンサーを利用したマーケティングの場となった。ネット時代の有名人に新作を着てもらいフォトコールで撮影、世界へ発信という仕組みだ。ブランド側からすれば煩わしいジャーナリズムによる批評よりも、宣伝してくれる有名人の方がありがたいのかもしれない。
パリで発表する「ザ・ロウ」は招待客にショーの写真撮影とSNSでの発信をしないよう求めた。携帯電話の画面越しではなく直接服を感じてほしいと、昨今のショーの在り方に異を唱えた。ファッションウィークがブランド側の一方的な広告宣伝の場ではなく、ファッションを巡るいろんな意見を交わせる場であり続けること。それがファッションの発展にとって大切に思えてならない。