縁あって、ブラジルの若い男性が1週間ほど自宅に滞在した。初めての訪日とあって、衣食住それぞれに異国の文化を楽しんでいた。昔と違って、スマートフォンの翻訳機能を使えば、ポルトガル語のコミュニケーションに苦労することもなくなった。
当方もおもてなし精神を発揮すべく、土日はアテンドに奔走した。自宅に来る前に京都や大阪市内は満喫していたので、奈良や大阪南部を中心に案内する。奈良公園、東大寺や法隆寺、天王寺界隈(かいわい)、大仙古墳など定番の観光地が中心だ。
帰国後に結構な数の土産を配るようで、観光のついでにショッピングも案内した。ファッションセンスの良い若者だったので、シックな感覚の商品を色々と薦めるのだが、当人の顔は今一つ浮かない。結局、大喜びで買ったのは前面に日本という漢字が大きくプリントされたTシャツだった。聞けば、土産を配るブラジルの友人の多くは、まだ日本のことを良く知らない。日本という文字が無ければ、どこの国の土産物かわからず、喜んでもらえないという。
今年の訪日外国人は初めて4000万人を超える見込みだ。政府は30年に6000万人を目指している。業界にとってビジネスチャンスは広がるが、インバウンド需要は千差万別。個々にどんなニーズがあるのか、きめ細かいマーケティングが求められていくのだろう。