ティーンズ女子の甘くてかわいい世界が特徴のファッション「ゆめかわいい」(ゆめかわ)。この「ゆめかわいい」をコンセプトにして岐阜県羽島市を拠点にブランド「みらくる.com」を立ち上げ、デザイン活動を行っているのが「ひろみん.com」(ひろみん)さん。「ゆめかわいい」の表現で共通するイラストレーター、雑貨デザイナーの3人によるチーム「ぱすてる.JP」を組み、16年からは東京などで開かれるクリエイターの展示会に参加。活動の幅を広げている。
(浅岡達夫)
羽島市出身のひろみんさんは、名古屋モード学園在学中にみらくる.comを立ち上げた。18年3月、卒業後にフリーのデザイナーとしての活動を始めた。
ひろみんさんがゆめかわいい洋服を作り始めたきかっけは、中学生のころに出会ったゆめかわブランド。「ゆめかわブランドを着る店員さんにあこがれた」のがきっかけ。ゆめかわファッションを身にまとうようになったが、「アクセサリーや雑貨は多いが、着たい服が少ない」ことに気づく。そこで自分で着る洋服作りを始めた。
「インターネットでチュールやカットソー用の生地などを探し、自分でパターンを引いて作りました」。そのコーディネートをSNSで紹介。すると一般の人だけでなくクリエイターからも「いいね」を多数もらった。「自分が作ったゆめかわいい服が評価された」と感じ、動画サイトや展示会、SNSなどで幅広く紹介。販売を広げている。
展示会で初めて紹介したのは、16年6月に名古屋で開かれたクリエイターズマーケット。7月には原宿のゆめかわショップで商品を販売。名古屋の各地で開かれる展示会に参加した。
17年には東京に進出。同年5月にクリエイター作品の大型展デザインフェスタに初参加。その後は年2回開かれる同展に連続して参加している。
デザインフェスタで知り合ったゆめかわ表現で共通するイラストレーター、雑貨デザイナーと知り合い、共同チーム「パステル.JP」を結成。18年7月には原宿で初のお披露目展を開いた。
その後は地下アイドル、カフェ店員などの制服などを手掛けるほか、テレビ番組でも紹介された。
「ゆめかわいい」をひろみんさんは「夢のようにかわいい服。少女の夢の世界のファッション」とし、「決まった定義はない」という。共通するのは淡いピンクやミントグリーンなどパステルカラー使い、それにふわふわ感を表現するパターン、イチゴなどの大きめ刺繍などのファンシー感覚だ。
ゆめかわいいを表現するクリエイターは「イラストレーターが多く、次には雑貨デザイナー。洋服でこの世界を表現する人は意外に少ない」とも。
現在25歳のひろみんさんの祖父は、尾州産地の最大手テキスタイルメーカー、岩仲毛織社長だった岩田仲雄さん。日本毛織物等工業組合連合会理事長を長く務め、繊維総合見本市「ジャパン・クリエーション」の立ち上げに尽力した。
「祖父の記憶は優しくて、かわいがられたということばかり」というひろみんさんは、「せっかく尾州に拠点を置いているのだから、ウール生地を使いたい。例えば少し大人の女性に向けたかわいいコートなどで」とする。
将来の夢はブランドをしっかり成長させること。「独学でここまで来ました。ゆめかわいい世界をしっかり伝えるために、もっとレベルアップしたい。そして物作りや販売などで組織的に分担する一つのチームにブランドを成長させたい」