栃木県を拠点として活動するブランド「ムラカド」は、野良仕事や縁起物など、日本文化を取り入れたがま口やバッグ、アパレルで「人とかぶらない物」を求める層に刺さっている。
キャンバス地に鯛(たい)と紅白の組みひもをあしらった豆がま口やトートバッグ、刺し子織りにしめ縄や富士山のオリジナル刺繍を施したスマートフォンの入るがま口ショルダー、和風と洋風の生地をパッチワークし組みひもをフリンジにした巾着ショルダー。日本古来の縁起物をモチーフにした「めでたさ」満載の商品だ。がま口ショルダーで税込み1万2000円、巾着ショルダーで1万5400円、Tシャツ6600円など。
手掛けるのは村門ちあきさん、祐太さん夫妻だ。二人は21年に名古屋から栃木県に移住。築150年の古民家に住み、畑仕事、寺子屋を営む傍ら、ブランドの商品デザインから生地の裁断、縫製、刺繍を2人で手掛けている。
ブランドの始まりは10年前。もともとは古風に捉えられがちな「がま口」を現代風に仕上げるブランドとしてちあきさんが始めたが、19年に作風が一変。祐太さんが所属する和楽器集団「切腹ピストルズ」の野良着やはんてんなどの日本らしい文化に影響を受け、自国の縁起物などをデザインに取り入れるようになった。
浮世絵の女性や相撲、百眼などのモチーフのほか、文様では唐草や吉原つなぎなどがお気に入りというちあきさん。鎖状の文様で、縁を長くつなぐよう願いを込めた吉原つなぎをはじめ、日本の伝統文様には、縁起を担ぐ、様々な意味が込められていて「そんな文化が嫉妬するほど面白い」。デザインする際は感覚で作ることが多いが、本を読み、江戸文化を勉強することで、意味や願いも込められるようになったという。
自社ECと全国の期間限定店でファンを広げている。人とかぶらない物が欲しいという客からの引き合いのほか、「めでたい商品で運気が上昇した」と、ラッキーアイテムとしてのニーズもある。
現在は仕入れた生地も使用しているが、今後はオリジナル生地の比率を高めていきたいとしている。