前回は、生まれ育った沖縄・宮古島の話をしました。何もなかった小さな島が今や外資系ホテルが参入する一大リゾート島に。複雑な感情ではありますが、バランスの取れた発展と健全さの融合、それこそサステイナビリティー(持続可能性)を目指してほしいです。
昨今、環境に配慮した経営が強く求められるようになりました。皆で取り組んでいこうという空気が広がり、やりがいを感じます。経営としては共感を生み出したい。TSIの商品は社会や環境への負荷が少ないよね、と。そうなれば、「この会社を応援してやろう」とお客様にも投資家にも思ってもらえるのではないでしょうか。
これからは企業の考え方で選別される時代。環境配慮もせず、成長、成長で地球をいじめてきたことを反省し、本当の意味で社会に貢献する会社にしたい。持続可能性への意識が世の中に醸成され、事業として取り組めるようになった。だから僕は環境対応の費用をコストと思っていません。
サステイナブル経営など、欧米の会社は新しい概念をビジネス化する能力が高い。既存のモデルを一気に捨てて乗り換え、成立させます。一方、日本の企業は仕組み作りは得意ではないですが、いいものを熟成させていく能力に優れています。
偉そうなことを言っていますが、我々もまだ小さなことから始めた段階。それでも、取り組みを通じて生まれる何かを見つけられるはず。小さな成功を重ねた先に、製品廃棄をゼロにすることや不良品を再生させる仕組みなどを実現させていきたいですね。
(TSIホールディングス社長)
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「私のビジネス日記帳」はファッションビジネス業界を代表する経営者・著名人に執筆いただいているコラムです。