「楽天ファッションウィーク東京」のデザイナー支援プロジェクト「by R」に選んでもらい、来週ショーを開くことになりました。「いつ順番がまわってくるんかな」と思っていましたから(笑)、素直にうれしいですね。自分の記念になるような思いっきりダイナミックなショーにしたいと思っています。
そんな風に考えたのも理由があります。最近、服って自分ですら良いものと悪いものの区別がつかなくて、すごく平板なもののように思えてきてて。SNSなど情報が多過ぎるのか、根本的な新しさを出さないと埋もれてしまう感覚に陥っています。ショーの有り様についても深く考えるようになりました。
ショー自体はなくなりはしないのでしょうし、否定するものではありません。実際、自分も先輩デザイナーを見て「いつか自分も」と、頑張ってきましたから。
でも、世の中が大きく変わり、産業構造も昔と異なっているのに、同じフォーマットで続けることに少し疑問を感じ始めました。他と違ったことがしたいと思ってずっと服作りをしてきましたから、この状況には耐えられない。
ブラックスワンじゃないですが、何か大きな変動が起こる前触れに自分たちはいるのではないか。だったら、その前に自分から動いて別のやり方を探るべきではないか。そんなことを考えています。だから、今回のショーはかなり際立ったものにしたいと準備してきました。新しい自分のブランドの立ち位置を表明する柿(こけら)落としになるようなものにしたいと考えています。
(デザイナー)
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「私のビジネス日記帳」はファッションビジネス業界を代表する経営者・著名人に執筆いただいているコラムです。