服装文化において、男性と女性のアイテムの差が少なくなっていると思います。靴でいうと、近年のアウトドアやスニーカーのブームはそれを加速させました。ユニセックスで取り扱いのある靴のブランドを輸入して販売している当社は、それを強く感じています。
もともと紳士靴として認知されていたいくつかの欧米のブランドには、婦人靴のコレクションが存在しています。以前は、それほど数が売れないニッチな商品でしたが、コロナ禍で革靴の売り上げが厳しくなっているのに、このジャンルは右肩上がりで伸びています。
すごく紳士靴目線なアイテムを女性が欲しくなっている。それとは反対に、婦人靴を見た男性が「このデザインで紳士靴が欲しい」というリクエストが目立ってきています。数字にはまだ表れませんが、女性目線な男性も増えているのは明らかです。過去に婦人靴では、ファッションの波に乗って「おじ靴」「マニッシュ靴」のブームがあり、紳士靴風のデザインの人気が高まった時もありましたが、現在はちょっと違うようです。
私はずっと、「靴のデザインは時代を表す」と考えていますが、紳士靴と婦人靴の感性のシームレス化はこれからもっと進んでいくと思っています。そんな方向性は、パリコレのランウェーに登場するブランドを見ると、徐々に強くなっています。紳士靴としてのパンプスやハイヒールの着用が広がることも、それほど先ではないでしょう。
(GMT社長)
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「私のビジネス日記帳」はファッションビジネス業界を代表する経営者・著名人に執筆いただいているコラムです。