今回は少し理解しづらいプラットフォーム(PF)事業についてお話しします。経緯から説明します。当社にはたくさんブランドがあります。例えば、それらの売り上げが各10億円あって、それが100個あるから1000億円です――それって、グループとして意味があるのかという問いから始まりました。
グループとして単なる足し算じゃない付加価値とは一体何なんだ。これに対する答えがPFでした。生産や販売、ECなどの機能をブランド横断で請け負う。最初は事業化ではなくグループとしての付加価値創出が出発点でした。
しかし取り組むうちに「これってうちだけの問題じゃないよね」と。産業全体の問題だし、異業種にも当てはまる場合もある。だったらと事業化が決まりました。もっとも、競合相手もクライアントになり得ますから、空間や什器などの分野の課題解決だったり、営業先も同業ではなく異業種だったりと、〝遠い所〟から始めました。
マーケットに受け入れられる時間と、社内の意識変革の時間の二つで時間はかかりましたが、「やっときたな」というのが今の実感。事業化の勝算だけではなく、社内にとっても良かった。例えば、OEM(相手先ブランドによる生産)。これまでは発注側だったのが、受注側に立場が180度変わります。担当者は「物作りの大変さがわかった。すごく勉強になる」と言っています。
最初の壁とみていた100億円は超え、次は300億円が目標。産業全体にも資する仕事なので、じっくり育てたいですね。
(ワールド社長)
◇
「私のビジネス日記帳」はファッションビジネス業界を代表する経営者・著名人に執筆いただいているコラムです。