小さな会社を経営していると、これからの繊維業界を取り巻く環境がいかに厳しいか痛感します。生き残るために企業の特色をいかにだすか。弊社はテキスタイル販売と製品OEM(相手先ブランドによる生産)の二つの事業を生業としています。そこに経営資源であるヒト・モノ・カネをほぼ同じ比重で投下し、収益もほぼ同じ。この双輪事業が個性の一つです。
高価な素材を小ロットで提案するテキスタイル事業と、海外生産ボリュームゾーンを販路とするOEM事業は、元来異なる販売チャネルを担うものでした。それが最近は連携と補完の効果がでています。素材原料から最終製品、果ては物流まで、一貫した垂直提案は顧客の構想を実現すると好評です。また経営面でも輸出入の相殺で為替対応でき、回収期間差を利用した運転資金の確保もできます。課題もありますが、双輪事業は難局を乗り越える選択肢を増やす気がします。
異なる性質の二つの事業体が支えあい、補いあうには社内の風通しと協調が不可欠です。会社は生身の人間の集まりですから、社内でいがみ合ったり、足を引っ張るようではうまくいきません。そのため、こまめに企業理念と会社方針を伝え、全社で「気くばり、心くばり」を励行、国内外の拠点で連携したプロジェクトや展示会開催に加えて宴席も設け、私自身週末には社員向けブログを発信しています。おのおのが力を出しやすい環境を用意し、全員で目指すべき方向を明示し、全社一丸となって進むにはどうすればいいのか。まだまだ試行錯誤の日々が続きます。
(川越政社長)
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「私のビジネス日記帳」はファッションビジネス業界を代表する経営者・著名人に執筆いただいているコラムです。