《私のビジネス日記帳》日本流ラグジュアリーとは? 生駒芳子

2023/09/27 06:25 更新


 ラグジュアリーブランドを束ねるヨーロッパ発のコングロマリットに続いて、つい最近、アメリカからも複数のブランドを束ねるタペストリー社が名乗りを上げ、ラグジュアリーブランド買収合戦は加熱するばかりだ。富裕層マーケットの拡大と、インスタグラムなどSNSでの日常的なブランド・アピール効果も伴って、ラグジュアリーマーケットは活況を呈している。

 ラグジュアリーブランドが提供するものは、高品質のものづくりと、最先端のアートやファッションを取り込んだ高い美意識を宿したライフスタイル。彼らが今、最も注目しているのが、日本のものづくり、伝統工芸、アート、漫画、自然資源だ。

 だとするならば、この国で、ファッションやアート、ものづくりに携わる人々の使命は、日本流のラグジュアリーを〝発明〟することではないか。実は、世界市場を席巻するスティーブ・ジョブズやイーロン・マスクらIT世界の先駆者は、禅や〝わびさび〟、瞑想(めいそう)、伝統工芸に入れ込んできた。彼らはそこに、未来の豊かさを見ているのだ。

 私自身、12年前に伝統工芸に出会い、未来を感じて、日本流ラグジュアリーを目指すブランドを手がけている。自然をめでる。丁寧なものづくり。人々の心の奥に触れる深い精神性と芸術性を宿した新たなラグジュアリーブランドが、ここ日本からこそ飛び立つべきであるとそう信じている。

(ファッション・アート・伝統工芸プロデューサー)

「私のビジネス日記帳」はファッションビジネス業界を代表する経営者・著名人に執筆いただいているコラムです。

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