《私のビジネス日記帳》ロゴス流ブランディング 柴田茂樹

2023/11/08 06:25 更新


 当社に入社する前の1970年代から80年代にかけて、私はスポーツ用品卸に勤めていました。当時、マーケティングの主流だったのは「頂上作戦」。トップ選手と契約を結び、その会社のウェアや道具を使ってもらい、販促につなげる手法です。しかし当社に入ってアウトドア事業を立ち上げた際、このセオリーは通じないように感じました。有名な登山家や冒険家に憧れてキャンプやアウトドアを始める人が増えるとは思えなかったからです。

 トップダウンではなく、ボトムアップ型のブランディングもあるのではないか…。そう考え、「ロゴス」ではアウトドアに初めて親しむファミリー層をターゲットに置いています。そうしたロゴスのスタンスを象徴する製品が、強力保冷剤の「氷点下パック」でしょう。アウトドアに不可欠なアイテムといえば燃料や消耗品です。特に保冷剤は外での活動に欠かせない消耗品の一つですから、ここで他社に負けないようこれまで開発と拡販に力を入れてきました。その結果、当社を代表するベストセラー品となり、その名称を商標登録するまでに至っています。

 「消耗品でブランディングできるのか?」とよく聞かれますが、ソニーさんやパナソニックさんだって乾電池を作っています。つまり信頼性のある消耗品なら、たとえ単価が低いものでも、長く太いボルトのようにお客様の心の奥深くに刺さるのです。

(ロゴスコーポレーション社長)

「私のビジネス日記帳」はファッションビジネス業界を代表する経営者・著名人に執筆いただいているコラムです。

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