役職というのは、あくまでポジションであり、そのポジションとしての役割、責任を果たす義務を負っているのだと思います。これを権限だと思うのは、大きな間違いのもとです。
私は37歳で社長に指名されましたが、その時も、ただポジションが変わるだけだと、打診されたその場で引き受けました。
2代目である私の責務は、どんなに時代が変わっても、強いタビオをつくっておくことだと思っています。この大きな時代の変化を迎えたタイミングで社長をしているからこそ、なおさら強くそう感じています。
ですから、たとえ来年退任してもよいように、少なくとも5年くらい先は見据え、物事を考えるようにしています。次の人がやりやすいように、道筋はつくっておかなければならないからです。
また、これからは同じ志を持った企業同士が力を合わせ、それぞれの業界を押し上げていくことも必要だと感じています。そうでもしない限り、これからのネット社会に立ち向かっていくのは難しいと思うのです。
その意味で、男性化粧品や男性かばん業界のケースは、今後のアパレル業界の参考になることでしょう。
ポジションであるからには、いつか辞める時が来ます。少なくともその時までは、靴下業界を盛り立て、タビオを少しでも良い会社にするため、この責務を全うしたいと思っています。
(タビオ社長)
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「私のビジネス日記帳」はファッションビジネス業界を代表する経営者・著名人に執筆いただいているコラムです。